組織行動論 メモ1 『部下を持つ方に最も知って頂きたい理論』

「self-fulfilling prophecy cycle」


部下を持つ方に最も知って頂きたい理論です。

 

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この理論は、図に示すように、「上司の期待に応じて部下は行動する」というものです。

最初この理論を聞いたとき、 部下はいつも上司が何を考えているかを踏まえて行動するから、あたりまえじゃないかと思いました。

が、この理論は部下ではなく上司に焦点を当てます。つまり、上司が『この部下はできる!』と高い期待感を持ってのぞめば、部下はその期待に応じて高い成果をあげるというもの。

そして、この理論が怖いのは、上述のプラス方向だけではなく、マイナス方向にも働くということ。つまり、上司が『こいつはダメなやつだ!』と心の中で思って部下に接していると、本当に部下がダメになってしまいます。

よく『あいつはダメな奴だ』とこれみよがしに言う上司がいますが、ダメなのは上司の方です。チームのパフォーマンスを上げて、成果を達成するのが上司の仕事だからです。

ちゃんと部下の良いところを見つけて、高い期待感をもってのぞみたいです。

 

ではでは。


補足:
この理論に関する有名な研究の一つが、イスラエル軍を対象に行われた実験です。教官に、これから訓練してもらう訓練生のうち、1/3(3分の1)は高いポテンシャルを持っていて、1/3は普通のポテンシャル、1/3はポテンシャルが不明と、訓練前に伝えておいたところ、訓練後の成果は、高いポテンシャルを持っていると伝えられていた訓練生が明らかに優れていたというものです。そして、その訓練生が最も教官に対して良い印象を持ったと答えています。実際は、訓練生はランダムに選ばれているので、ポテンシャルの差はなかったのにもかかわらず。

参考文献:
McShane, Steven Lattimore (2015). Organizational Behavior: Emerging Knowledge, Global Reality, 7th edition.