組織行動論 メモ3 『組織内での公平性の担保』

『組織内での公平性の担保』

 

組織内のメンバーのモチベーションを維持するには、公平性の担保が必要。

そのためには次の2つが重要。


1. Distributive justice:得られる報酬が公平であること
2. Procedural justice:報酬を分配するための手続きが公平であること

 

そして、各個人がどのように公平性を認識するかを示したのが、図の『Equity theory(公平理論)』

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この理論によると、人は、自分自身のinput(技能や努力、労働時間等)に対するoutcome(給料、昇進、評判等)の比と、他人のinputに対するoutcomeの比を比較し、それによって公平性を認識する。

 

自分が不公平だと感じた時にとりうる行動は、 この比(=outcomes / inputs)の定義に基づくと、次の通りで、いずれも好ましくない。

  • 自分のinputを減らす(例:手を抜く)
  • 自分のoutcomeを増やす(例:昇進を求める)

もしくは

  • 他人のinputを増やす(例:他人に仕事をおしつける)
  • 他人のoutcomeを減らす(例:他人の評判を下げる)

もしくは

  • 自分の認識を変える
  • 比較する他人を変える(例:自社内の人ではなく他社の人と比べる)
  • 比較から逃れる(例:職場を変える)

 

なるほど、他人を蹴落とそうとする、つまり他人の比を低くする方が、自分の比を上げるより、楽に感じるだろうと思われる。

 

少し話がずれるけど、最近の生産性の議論を踏まえると、意義のある仕事に注力し(=outcomeを増やす)、仕事のやり方を工夫する(=inputを減らす) ことで、自分の比を高めるのが最も効果のある改善策だろうけど、実現はなかなか難しい。

 

その一方で、ひたすら残業をし(=inputを増やす)、成果を上げようとする(=outcomeを増やす)のは、取り組みやすく、また頑張ろうとする気持ちとしては分かるけど、あまり比が改善されないどころか、比が小さくなる場合もあるなと思える。ただ、残業の方が制度的に単価が高いから、それをもって比が改善したと感じる人もいるだろう。

 

話を戻して、この理論において難しいのは、各個人がどのように自分の比(outcome / input)と他人の比を捉えているかが分からない点にある。

そのため、まずは Procedural justice(手続き的な公平性)を確実に担保しなければならない。

 

ではでは。 

 

参考文献:
McShane, Steven Lattimore (2015). Organizational Behavior: Emerging Knowledge, Global Reality, 7th edition.