組織行動論 メモ5 『合理的な意思決定プロセスとなかなかそれが難しい原因』

『合理的な意思決定プロセスとなかなかそれが難しい原因』
(Rational choice decision-making process and Organizational Behavior observations)

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 「上司に相談するときは必ず3案以上作れ」とよく指導されましたが、改めて『合理的な意思決定プロセス』と『なかなかそうはいかない理由』をまとめてみました。

 

『合理的な意思決定プロセス 』
 図1に示すように、合理的な意思決定プロセスでは、以下の6つのステップを踏んでいきます。

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             図1:合理的な意思決定プロセス

 

  1. identify problem or opportunity:問題の見極め
  2. choose best decision process:どういった意思決定プロセスを用いるか(例:一人で考える、誰かを巻き込む / 通常の手続きに従うのか、違うやり方をするのか)
  3. discover or develop alternatives:複数案の立案
  4. select choice with the highest value:最善の案の選択 その際、subjective expected utility(種々の制約条件を考慮上、それぞれの案からもたらされる結果を評価)を用いる。
  5. implement the selected choice:選んだ案の実行
  6. evaluate the selected choice:実行した結果の評価

 いずれのステップも重要で、例えば、最初の問題の見極めを間違えると、どれだけ案をつくっても真の解決には至らない。また、プロセスを間違えると、せっかく作った案が受け入れてもらえないかもしれない。そして何か案を選び実行した後、その結果を振り返ることはあまりしないのではないか。

 

 

『なかなかそうはいかない理由』
 そうはいっても、なかなか合理的に意思決定をすすめるというのは難しいもので、組織行動の観点から見ると、図2のような困難があります。

(図の左側が合理的な場合 vs 右側が現実の場合)

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            図2:合理的な意思決定と現実の意思決定

  • 目的がはっきりしている、合意できている vs しばしばあいまいで合意できていない
  • 選択肢を評価できる能力がある vs 評価するだけの情報や能力が不足している
  • すべての選択肢を同時に評価できる vs 順次選択肢が現れる
  • 絶対的な評価基準がある vs 人はそれぞれ評価基準の好みがある
  • 事実に基づいて判断する vs ゆがめられた情報(ゆがんだ認識)に基づいて判断する
  • 最善の案を選択する vs そこそこの案で満足する

 意思決定にあたっては、こういった困難を知りつつ、各プロセスをチェックしながらより良い意思決定ができるようになりたいです。

 

ではでは。 

 

参考文献:
McShane, Steven Lattimore (2015). Organizational Behavior: Emerging Knowledge, Global Reality, 7th edition.