組織行動論 メモ8 『コミュニケーションのためのツールの選び方』

『コミュニケーションのためのツールの選び方』

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 コミュニケーションを円滑に進めるためには、自分たちに合ったツール(会議、メール、ショートメール(LINE等))を選択することが必要。

 図は、Media richness theoryに基づき、状況に応じたツールを示したもの

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(図の読み方)
 横軸は状況を表しており、左に行くほど定型的かつ明確な状況を、右に行くほど非定形かつ不明確な状況となる。

 縦軸はmedia richness(どれだけの情報を運べるか)を表している。
 このmedia richnessは、以下の4項目の充実度合いを表している。

  1. どれだけ多様な手がかりを伝達できるか(例:言葉だけでなく表情も)
  2. どれだけタイムリーにやりとりできるか
  3. どれだけ相手に合わせたメッセージを送れるか
  4. どれだけ複雑な表現を用いることができるか


(図の解説)
 図を見ると、あいまいな状況になるほど、対面でのコミュニケーションが有効となってくる。
 図の左上は、オーバーロードの状態で、簡単な状況にもかかわらず、media richnessの高い手段を用いている場合のこと。(例:資料を読めばわかるような簡単な報告事項を延々と対面の会議でやる)
 図の右下は、簡略化しすぎた状態で、複雑な状況にもかかわらず、media richnessの低い手段を用いている場合のこと。(例:複雑な議論をLINEでやる)

(理論の限界)
 ただし、この理論では、最近の情報伝達ツールの発達による以下のことが考慮できていない。同時に2つ以上のツールをどの程度使いこなせるか(例:会議中にショートメールを送る)。 どの程度ツールを使いこなせるか。また、社会的な影響をどの程度受けるか(例:偉い人と対面で話す場合、意見が言いづらい)。

(コミュニケーションマネジメント)
 ここで重要なのは、 繰り返しになるが、『自分たちに合ったツールを選ぶこと。どのツールをどのように使うかを、チームで合意しておくこと。』

 そのための一つのやり方として、プロジェクトマネジメントにおける「コミュニケーションマネジメントプラン」というものがあり、このプランの中では、以下のようなことを記載し、チームで共有する。

  1. コミュニケーションをとるべき人は誰か。その人の関心事項や好みは?(例:スポンサーである銀行は、投資回収にかかわる数字に敏感。うちの部長はメールが嫌い。)
  2. 1で列挙したそれぞれの人に、どのツールで、何を、どの程度の詳しさと頻度で、どういった様式で伝えるか。
  3. イレギュラーなことが起きたら、どういう報告手順を踏むか。
  4. ツールを使いこなすためのトレーニングメニュー

などなど。

 こういったプラン(もしくは合意)がないばっかりに、自分の経験だと、こんなことがありました。

 丁寧さを重んじるあまり、上述の図のオーバーロードの状況になり、手間ばかりかかる。また、誰に報告すべきかが共有されておらず、「聞いてないぞ」と言われるのが嫌で、念のためたくさんの人に報告しておく。自分の手間がかかるだけでなく、受け取る側も、たくさんの報告がありすぎて、結局よく目を通せていない。自分の上司が幹部に報告するための資料を作成したものの、その幹部の関心事項・好みが良く分かっておらず、資料を作り直す羽目になる。

 また、つい最近ネット上で、「うちの新入社員がLINEなんかで業務連絡してきやがった」などという話を見かけましたが、これも単なる合意不足だと思います。

 こういったプランを細かに作り始めるときりがないので、まずは簡単な約束事だけでも作っておくのが良いと思います。特に、自分のチーム内でのコミュニケーションのやり方は早急に共通認識をもっておきたいところです。

参考文献:
McShane, Steven Lattimore (2015). Organizational Behavior: Emerging Knowledge, Global Reality, 7th edition. 

A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK Guide). (2017). Newtown Square, PA: Project Management Institute.