最近の若手は

静岡新聞コラム(第2回)です。
 
「最近の若手は...」という言葉が嫌いです。
そして、今大学で学んでいることをこれからの人材育成に生かしていきたいです。
 

(静岡新聞掲載 2017年1月12日)
 
「最近の若手は」
 
 私たちの職場でも、少子高齢化が進んでいる。つまり、上司が多く、部下が少ない。そのため必然的に人材育成に力が入る。
 
 だが、育成を始めてしばらくすると「最近の若手は…」と言う言葉が聞こえてくる。この言葉は、ほとんどの場合否定的な意味を含んでいる。私はこの言葉にはとても違和感を覚える。若手に責任を押し付けているように感じるからだ。
 
 学校に例えれば、生徒の成績が悪い時に、先生が生徒に文句を言うようなものである。まずは先生側の工夫や能力向上が先である。「最近の若手は」と言う人を見かけるたび、「あなたの配慮が足りないのではないでしょうか」と心の中で思ってしまう。
 
 ただ、今若手の育成担当となっている30代半ばの係長層は、採用減によって、部下を持てず、自分一人でなんとかせざるを得なかった人が多い。
 
 そのため、まず育成担当者の育成が先である。そして、「勘」と「経験」で人材育成を行うのではなく、「知識」と「スキル」をもって行う必要がある。
 
 幸い、人材育成は、多様なハウツー本も、経営学という学問としての研究成果もある。それらを読んで知識を身に付け、さらにコーチングなどのスキルを身に付け、育成担当者がそれぞれの若手に合わせて日々の指導を行うことが理想だろう。
 
 ハリー・ポッターに出てくる偉大な指導者であるダンブルドア校長の言葉を心に留めておきたい。
 
「若い者には、老いた者がどのように考え、感じるかわからぬものじゃ。しかし、年老いた者が、若いということがなんであるかを忘れてしまうのは罪じゃ」