30年後を考えるのは誰か

 このGW、2年ぶりに伊豆半島を訪れました。何度来ても楽しかったです。

 多くの仲間とともに自分も携わらせていただいた事業は、色々なご苦労があったかと思いますが、それでも着実に進捗し、新たな道路などが完成していました。周辺の施設も工夫が加えられていました。それらの施設をみていると、私が赴任中、もしくはそれよりもずっと前からいらした、熱い思いを持った人々が携わった施設やイベントはその想いが受け継がれているような賑わいがありました。

 やはり、地域の人による長い取り組みが必要です。

 


 

静岡新聞 第13回 最終回です。(静岡新聞 2017年3月30日掲載)

 

 私ども国が行う公共事業は、その規模、建設費が巨大である。調査し、計画し、用地を取得し、工事をするといった一連の流れは、30年ほどかかることもある。
 そのため、われわれは、いつも10年や30年といった将来のことを考える。10年後をターゲットとした「国土形成計画」、約30年後を描いた「国土のグランドデザイン2050」などである。
 一方、民間企業は、長期計画といっても、3年程度である。毎月の売り上げ、4半期ごとの業績、1年ごとの決算がある民間企業としては当然だろう。
 地域のリーダーである首長は4年ごとに、議員も4年や6年ごとに審判を受けることとなる。そのため、長期的なビジョンを描きつつも、短期間での成果も示していかなければならない。
 かくいう私どもも計画こそ長いが、個々人で見れば、約2年で部署異動となる。
 では、30年後の将来を見据えて、行動し続けることができるのは誰なのだろうか。それは地域に住む住民である。地域の声がすべての始まりである。
 この変化の速い世の中、30年後をイメージするのは難しいかもしれない。そんな時、私はこう自分に問う。自分の子供にどんな地域を残したいか、自分が年老いた時にどんな地域に住みたいか。
 この駿東・伊豆地域に来て2年。地域の方々より教えていただいたことを糧として、この窓辺にて自分の思いを紹介させていただいた。心より感謝申し上げるとともに、今後も国家公務員として、時に観光客として、恩返しをしていきたい。