みんなを集めての会議。『さぁ意見をどうぞ』と言っても何も出ないことがありますよね。それは「場のデザイン」ができていないからかもしれません。そして、「場のデザイン」は事前準備の中で簡単に、そして、機械的にできます。
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先日、日本ファシリテーション協会の「ファシリテーション基礎講座(公開セミナー)」を受けてきました。
今日はその中から、「場のデザイン」を取り上げます。
出典: https://www.faj.or.jp/activity/seminar/
※セミナーでは、「場のデザイン」以外にも「対人関係のスキル」「構造化のスキル」「合意形成のスキル」も教えてくれます。私自身は、コーチングや本を通じて知っていることも多かったですが、「知っていること」と「できること」は別問題。実際に演習ができた点がみんなで学ぶセミナーならではで良かったです。
ちなみに、セミナーは、当然ファシリテーションを学ぶことを目指し、そして、会社の中と違って上下関係もなくフラットな間柄の受講生が集まり、さらに、演習しやすいテーマ設定になっているわけですが、それでもなかなか演習がうまくいかないことがあり、いい経験になります。
1.「場のデザイン」
「場のデザイン」とは、私なりの解釈では、「会議の参加者が話すべきことを話しやすくできる場や雰囲気を作ること」です。
「話しやすくする」ことがなによりも大切なのですが、それに加えて、「話すべきことを話す」としました。
これは会議の場で全く関係ない話題で盛り上がり肝心のことが決まらなかったということを避けるためです。
また、今回「場のデザイン」をとりあげたのは、事前準備の中で簡単に、そして機械的にできるからです。
ファシリテーターは、会議中に臨機応変に対応するのがとても難しく、そのためにいろいろなスキルがありますが、この「場のデザイン」だけは慌てず取り組むことができます。
ということで、以下は全て会議の”事前”に行っておくべきことです。
2.5つの要素
「場のデザイン」を行うとは、次の5つの要素を、決めておくことです。
1.(最終的な)目的
「なんのために議論をするのか」というのが、目的です。
簡単な議題であれば一度の会議で目的を達成できるかもしれませんが、通常は複数回の会議を経ることが多いかと思います。
その複数回の会議を経た先に何を得たいのかという、最終的な目的を決めておく必要があります。
2.(その会議終了時における)目標
「会議の終了時に何が決定されていればよいのか」というのが、「目標」です。
「目的」が「複数回の会議の終了時に達成されていること」である一方で、「目標」は「一回の会議の終了時に達成されていること」です。
例えば、「わが社のこれからの働き方を考える」ことを「目的」としていても、一連の会議の中で、第1回は「現状の働き方を把握する」、第2回は「定時に仕事が終わらない原因を探る」、第3回は「理想の働き方を見つける」、第4回は「改善策を見つけ、その実行プランを定める」、、、というようにそれぞれの会議の中で決めていかなければならないことが「目標」です。
ですから、1度の会議で目的を達成できる場合は、「目的」と「目標」は同じとなります。
この「目標」は以前紹介した「仕込みにおいてやるべき3つのこと」の1つである「議論の「出発点」と「到達点」を明確にする。」にあたります。
↓関連する過去のブログ
読書メモ 「ファシリテーションの教科書」(第1回) - うめさんブログ
なお、この目標については、できる限り文章の形で詳細に記述しておいた方が良いです。
例えば、「目標」を「原因分析」とするだけではなくて、「定時に仕事が終わらない原因をできるだけ多く列挙する」といったところまで書く必要があります。
3.進め方
会議の進め方とその時間配分です。
例えば、趣旨説明(5分)、議題1(25分)、議題2(25分)、次回までのアクション(10分)といったような具合です。
ファシリテーターは当然これらを把握していると思いますが、どのように進めるのか、それぞれに何分かけるのかを参加者に意識してもらうことが重要です。
4.メンバーとその役割
参加者は誰で、それぞれどんな役割を果たすかを決めておきます。
目的と目標に照らして、参加すべき人をピックアップしておきましょう。
参加すべき人が参加していないと、結局決めることができなくなってしまいます。
例えば、ほとんどの参加者が(決定権のない)代理であったりすると、「ちょっと持ち帰って上司の意見を聞かないと、、、」なんてことになってしまいます。
役割については、簡単な会議であれば、ファシリテーターと参加者だけでしょう。大きな会議になれば、それにタイムキーパーなども加わるでしょう。
5.(議論の)ルール
議論を進めていく際に、参加者が守るべきルールです。
例えば、アイディアを出すためのブレインストーミングであれば、「批評しない」「思い付き歓迎」「量を重視」等があげられるでしょう。
これも目的に応じて工夫したいところです。
ちなみに私が好きなルールは、「賛否を明確にする」「理由とともに意見を述べる」「批判よりも対案」というものですが、これは自分が管理職として経験したことがベースとなっていて、ある程度議論が積み重なってきた時に、最終的な決断を迅速に出すためのルールですので、目的に応じて変えていく必要があります。
以上が、5つの要素ですが、この5つの要素を会議の場において有効に機能させるためには、会議の冒頭で次の2点をする必要があります。
- 会議の冒頭にこれら5つの要素について参加者に確認する。
- 確認が取れたら、5つの要素を紙に書いて、参加者が見えるところ(ホワイトボードなど)に貼っておく。
なぜなら、参加者から5つの要素について合意が得られていない状態では議論をしても無駄だからです。また、議論は容易に論点からずれていくからです。
この5つの要素は非常に簡単です。どんな会議であれ、確実に押さえていきたいと思います。
次回以降は、「場のデザイン」の中の「アイスブレイク」「レイアウト」「アイディアの発散と収束」について紹介していきたいと思います。