残業はいろいろな要因が絡まっているので、対策もいろいろとあるわけですが、ITを導入するのが手っ取り早いと思っています。
中でも社内のコミュニケーションを円滑にするITツールは、作業の効率化とともに職場の雰囲気も良くしてくれます。そして、ITツールの導入にあたっては、クラウドサービスを利用しない手はないです。
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読書メモ 「残業学」 中原淳+パーソル総合研究所 - うめさんブログ
1.クラウドサービスの良さ
「クラウドサービスを導入したい」と社内に提案したところ、「クラウドって何?」と何度か聞かれましたが、定義を言うのではなく、思い切って「Gmailのようなものです」と言って説明していました。
総務省によると「 クラウドサービスは、従来は利用者が手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、ネットワーク経由で、サービスとして利用者に提供するものです。」となるのですが、今では多くのサービスがクラウドで提供されているので、何か説明を受ける側が知っているサービスを挙げた方が話が早いかもしれません。
そして、「クラウドサービス」の良さは、従来のようにコンピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを自身で保有・管理していた場合(「オンプレミス」と言います)と比較することでより理解しやすくなります。(以下の表)
2.クラウドサービスの導入にあたって
さて、ここからはITの素人の私が今回のクラウドサービスの導入にあたって気づいた点を述べていきます。
1)セキュリティ
やはりセキュリティを心配される方が多いです。
クラウド上にデータを保管する方が自社でデータを保管するよりずっと安全なわけですが、技術的に難しい点も多いため、例えるなら「お金を銀行に預けるなんてとんでもない。家の床下の方が安全。」と思われる方もいらっしゃいます。
こういった心理面での不安感はなかなか払しょくしづらいので、「政府が出しているガイドライン」がお薦めしている「第3者機関が認定している認証制度」(例:ISO/IEC 27017、CSゴールド、FedRAMP)を持っているクラウドサービスを使うことをもって、安心してもらいました。知識のない自分がクラウドサービスを選ぶにあたっても、そういった基準があった方が安心でした。
2)効果とコスト
ITツールを導入しようとすると、「どれだけ効果があるのか?」と聞かれます。もちろんクラウドサービス業者によってはちゃんと利用者アンケートなどに基づき「〇%業務が効率化されます」と示してくれるところもありましたが、なかなか効果を数字で示すことは難しいです。
また、自前でシステムを構築するという話になると数百万とか数千万円規模の予算の話ができるのに、なぜかクラウドサービスの毎月数万円という利用料の話になると、「高いなぁ」と指摘されることが多かったです。
確かに何年も継続して使うということとなると、それなりの金額になるわけですが、その場合、今から利用しようとしているサービスを一体何年使うものなのかを明確にして議論しなければなりません。
結局、クラウドサービスの利用にあたって必要となる「一人当たりの月額利用料」と、「一人・時間当たりの残業代」とを比較して、「1日当たり2.5分残業時間を減らせられれば元が取れます」という説明をしました。
3)クラウドサービスを業務に合わせるのではなく、クラウドサービスに業務を合わせる
クラウドサービスはいろいろと機能を追加していくことができるので、ついつい自分たちの今の業務フローに合うよう機能を追加してしまいがちです。
そうするとどんどん費用がかさんでしまいますし、複雑な業務フローが少しでも変わると、またクラウドサービスの機能を入れ替える必要が出てきてしまいます。
そこで逆に、クラウドサービスがうまく利用できるように業務のやり方を変えてしまった方が楽です。
クラウドサービスを提供している業者さんは、当然いろんな会社のやり方に合うよう基礎的な機能を作り込んでいるはずです。
その基礎的な機能がうまく使えないということは、自分たちの業務のやり方が何か無駄なことをしている可能性があります。
まずは基礎的な機能をしっかり理解して、その機能が最大限発揮されるように自分たちの仕事のやり方を変えた方が良いです。
4)若手に試してもらう
せっかく導入したツールも使ってもらわなければ意味がありません。
そこで最も使ってくれそうな30歳前後の若手にいくつか試してもらいました。使い勝手を試したいと営業さんにお願いすれば、ほとんどのクラウドサービスが1か月ほどは無料で使えます。
今回は結局、「高機能だけど高い」クラウドサービスと「シンプルだけど安い」クラウドサービスを使ってもらったところ、シンプルな方を選ぶこととしました。
若手なので機能が多い方が良いかなと思っていましたが、「機能が多い分画面が見づらく直感的に操作できない」という意見が多かったので、試行してもらって良かったです。
試行してくれた若手が、実際の導入にあたっては、活用をリードしてくれることも期待したいです。
5)運用ルールが肝
導入にあたっては、運用ルールも肝です。
日頃よく使うメールやLINEであっても使い方は様々で、共通の運用ルールがないと混乱が生じます。
そこで、今回は試行した中で気づいた点を踏まえ、まず自分が作った運用ルールをたたきとして運用をスタートし、それを順次修正していくことにしました。
運用ルール無しでいきなりスタートするのは非常に危険です。
また、営業さんには、何度も「御社のサービスをうまく活用している事例を教えてください」とお願いしました(←ちなみに、これは友人からのアドバイスです)。
そして導入後も3か月に1度、活用状況をチェックしてもらい、改善策を提示してもらうことにしました。
せっかく苦労して導入したので、最大限活用していきたいです。
参考:
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/basic/service/13.html
「クラウドの基本」著:林雅之
政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針(2018.6.7)