eラーニングの特徴

 コロナウイルス対応で、いろんなことが一気にオンラインに移行しつつありますね。

 ITを使って同じことができるだけでなく、より便利に、そしてより生産性が上がるのであれば、どんどんオンラインに移行してほしいです。

 

 このオンライン化ですが、従来人が集まって行っていた研修も大きな影響を受けています。

 そして、春になれば、多くの新入社員が入ってきます。すでに今まで通りの一堂に会する形での入社式は行わないと発表した企業もありましたが、入社式の直後から行われる新入社員研修をどうするかも考えなければなりません。

 

 そこで、eラーニングの特徴を、参考図書と自分がオンラインで学んだ経験を踏まえ、整理してみました。

 

1.eラーニングの特徴

 下の図はE-learningの特徴を示したものです。

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 図の右下から順に、、、

 

①Delivery

 なんといってもンターネットを通じて学べることで、どこにいるかに関係なく学べるのがいいですよね。

 

 大きな会社になれば、全国に支店があり、また従業員も大勢いるでしょう。それを何人か単位でひとところに集めていては、交通費や宿泊費などの費用も掛かりますし、全従業員が学び終わるまでに非常に長い時間がかかってしまいます。その点、オンラインであれば、多くの従業員を対象に、自宅や会社で、空いた時間に、トレーニングすることが可能です。

 

 ただし、インターネットを通じて研修を提供するとなると、個々人のパソコンで確実に動くのかどうか、さらには、スマートフォンやタブレットで動くのかといったことは事前にしっかり検証しておかなければなりませんし、ユーザーが使いやすいようにインターフェイスを工夫したりといったことも必要です。この点は意外とコストがかかりますし、研修生のモチベーションにも影響するので、十分な予算を確保しておく必要があります。

 また、研修を提供する側の視点に立つと、提供したコンテンツを研修生のみが使えるようにコントロールすることも必要です。つまり、アクセスを制御したり、コンテンツをいたずらに複製されないようにする必要があります。デジタルで提供するということは、簡単にコピーできてしまうということです。そして、一度コピーされたものはあっという間に拡散されてしまいます。こういったことを防ぐためのコストも重要です。

 

②Administraiton(運営)

 研修を運営する側の視点に立つと、オンラインを通じて研修をすることで、研修生の進捗をモニタリングできるようになります。

 例えば、どこまで教科書を読んだのか、読むのにかかった時間はどの程度か、どこまで問題を解いたのか、どの問題の正答率が低いのかなど、を把握することができます。

 そして、それらを踏まえて研修テキストなどのアップデートが比較的容易と言うのも大きな特徴です。

 

③Link to Resources

 オンラインで学ぶということは、広大なネットワークにつながっているということであり、ネットワークでつながっているそのほかの教材を活用することが可能です。

 例えば、Youtubeやwebで提供されている試験などとリンクを張れば、それらも活用できます。

 

④Learner Control

 オンラインでは、研修生が学びやすくするために、色々なことができます。

 まずは演習です。練習問題を提供したり、シミュレーションを提供したりできます。

 次に、研修生は自分のペースや好きな場所で学びを進めていくことができます。

 この点は社会人にとっては大きな利点です。決まった時間に決まった場所に行く必要がなく、仕事が比較的忙しくない平日や、休みの日に、学んだりできますし、スマートフォンやタブレットでも学べるのであれば、通勤時間中の電車の中や外出先のコーヒーショップでも学べます。

 

 また、個々人にフィードバックを返してあげることができます。②運営のところで述べた進捗状況のモニタリングともつながりますが、一人一人の進捗状況が分かれば、それに応じた細かなフィードバックを行えますし、講師と研修生の間でやりとりすることもできます。

 

 さらに、提供するコンテンツ(教材)を、理解度に応じてカスタマイズすることも可能です。

 例えば、小学校での教室での学びは、どうしても理解度が真ん中ぐらいの人に合わせて行われます。すると、理解が進んでいる人と理解が遅れている人は効果的・効率的に学ぶことができません。それが、オンラインであれば、理解が進んでいる人は先のコンテンツ進めたり、理解が遅れている人は、少し前の基礎に戻ったりできます。 

 

⑤Collaboration and Sharing

 教室に集まって学ぶのと異なり、オンラインでの学びは一人一人に合わせた学びができる半面、独学になりがちです。

 もちろん決まった時間にオンライン上で集まって学ぶことはでき、場所に関係なく集まれるという利点はありますが、教室に集まった時とは異なり、パソコンの画面を通じてつながるため、なかなかコミュニケーションがとりづらいものとなります。

 

 そこで重要なのが、オンライン上にコミュニティを作ることです。

 例えば、一緒に学ぶメンバーの自己紹介サイトを作ったり、誰かが講師にした質問とその回答を掲示板で共有したり、あるトピックについて掲示板で意見交換をしたり、毎週決まった時間は先生とTV電話で直接つながることができるようにしたり、といった工夫が必要です。

 (少し話が変わりますが)オンライン上にコミュニティを作るにあたっては、Facebookのようなフローの情報を集める場と、ブログのようにストックの情報を集める場を目的に応じて使い分けると良いと思います。

 

 このオンラインコミュニティの良いところは、(もしそのコミュニティの維持費用を研修提供側が維持してくれれば)、研修が終わった後もフォローアップして学んだことの定着をはかったり、研修で知り合った仲間と学びを継続することができます。

 

⑥Content

 いろいろな研修材料を使うことができます。文字で書かれたテキストだけでなく、ビデオやグラフィックやサウンドを使って効果的に学ぶことができます。

 例えば、今や英単語を覚えるときは音声や写真とともに覚えることできるアプリもできていますし、算数の図形問題をアニメーションで分かりやすく解説することもできますし、動画コンテンツを1.5倍速で再生したりといったこともできます。

 

2.オンラインとオフライン 

 今後ITの進歩に伴い、今まで以上にオンラインでの学びは増えてくるでしょう。

 とすると、オフラインで行われる従来の学びには何が求められるのでしょうか。

 

 「今までずっとやってきたからオフラインでやる。」

 「便利だから、コストが安いからオンラインでやる。」

 ということではなく、学ぶ内容やスキルに合わせて、研修生にとって最も効率的・効果的な学びを実現するために、オフラインでやるのか、オンラインでやるのかを決めるのが肝心です。

 今後は、オフラインの良いところとオンラインの良いところを組み合わせたハイブリッド型が増えてくることと思います。

 

参考)

Noe, R. A. (2017). Employee training and development (Seventh ed.). New York, NY: McGraw-Hill Education.