19年お世話になった会社を辞めました。
これからは、「土木構造物をつくること」から「人や組織をつくること」をサポートすることを通じて、社会に貢献したいと思います。
ご指導いただいた方、気づきをくれた方、助けてくれた方、皆様本当にありがとうございました。
今後どこかで恩返しできればと存じます。
1.思いの変化とこれからやりたいこと
「社会の仕組みを作りたい」という思いで就職しましたが、「人や組織のための仕組みを作りたい」という思いに変わりました。
この思いの変化は、多くの人や組織とともに協力しながら土木プロジェクトを動かす経験を積ませていただいたこと、そして、そのプロジェクトに、時に部下として時に管理職として関わらせていただいたことが強く影響しているかと思います。
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私はこの19年の間に、支店・支社・本社・研究所・関連会社(出向)に所属し、その中で、河川・ダム・砂防・海岸・道路・港湾・人事関係と様々な分野に携わりました。
このように専門がくるくると変わったため、なかなか一つの分野に詳しくなることができず、自分はいつも誰かに助けていただきながら仕事を進めてきました。
そして、そのおかげで人や組織への興味が増していきました。
例えば、こんなことが気にかかる質(たち)でした。
- 自分よりも知識も経験も年齢も上の方々をどうマネジメントしたらよいのか。
- 部下よりも圧倒的に専門分野の知識がないリーダーに求められるのは何か。どうチームに貢献したらよいのか。
- なぜあの支店のチームはうまくいっているのに、こっちの支店のチームはうまくいかないのか。
- 係長の時は優秀だったのに、なぜ課長となったら成果があげられないのか。逆に、係長の時はいまいちだったのになぜ課長となったら成果をあげられるようになるのか。
- 部下に厳しくても慕われる上司がいる一方で、部下に優しくても嫌われる上司がいるのはなぜか。
- 「上司の背中を見て学べ」というスタイルでは部下が育たなくなっている一方で、「手取り足取り教えても」やっぱり部下が育たないのはなぜか。
- 同じような仕事を経験させているのに伸びる部下と伸びない部下がいるのはなぜか。
- 様々な危機感から組織を変えようとするいろいろな取り組みがなされるが、なぜ変われないのか。
- トップのマネジメント層の思いがなぜ現場まで届かないのか。逆に現場の思いがなぜトップのマネジメント層に届かないのか。
- 人の評価とは一体何を評価したらよいのか。また、評価する人によってなぜこうも評価結果が変わるのか。
- 一体どういうスキルや能力をどう高めればよいのか。
- 働くことに対する価値観がなぜこうも人によって異なるのか。
土木プロジェクトを動かすためには、日々、コスト管理やスケジュール管理、品質管理、調達管理、リスク管理などいろいろと対処しなければならないことが多く、ほとんどの時間がそれらへの対処に割かれます。
ところが、自分はどのポストにいても、どの分野にかかわっていても、時間があると、ふと人や組織に関することを考え、本を読んでちょっと試してみたり、詳しそうな人に話を聴きにいったりしていました。
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休職し、アメリカで昼は家事と育児をしつつ、夜は大学で経営学を学んだ時も、組織論や人的資源管理といった分野に惹かれ、卒業し仕事に復帰した後も、学術書を読んだりしていました。
「あぁ、自分はこれをずっとやっていきたいんだな。」ということに確信が持てた瞬間、転職しようと思いました。
2.今までの会社ではやれないこと
さて、「やりたいことがあるから」という前向きな理由がもちろん大きいのですが、当然「やれないこと」があるから、仕事を変えたわけです。
(念のため注:これまでの記載も、ここからの記載も、もちろんすべて個人的な見解です。)
今までの会社の場合、人事制度の主要な部分は別の組織が決めており、会社が変えていけることの自由度が限られていました。
また、ジェネラリストを育てるという意味では良いかもしれませんが、私のように分野をまたいだ異動があまりに多いと、専門性が身に付きませんし、自分が好きな人や組織のことだけをやるというわけにはいきません。
これは、人事を担当する部署の人も例外ではなく、平均して2年ほどしか在籍できないため、変えていけることの限界があります。
もちろん人事部局の人は、社内の人事制度に熟知し、社員のために多くの時間を割いているのですが、とかく日々の制度運用が忙しく、人事関係のデータを継続的に集めて分析したり、学術的な理論を学んだり、人事制度を抜本的に変えたりということに十分な時間が割けません。
例えば、誰がどんなポテンシャルを秘めていて、それをどう伸ばしていくのか、ということを客観的かつ科学的な方法で評価できるほどの専門家にはなかなかなれません。
さらに、同業他社がいないため人の出入りが少ないこと、つまり一度採用したら退職までいることを前提に、人的資源の管理がなされているため、能力を伸ばしていこうというよりは、能力が伸びた人だけを残すという管理の仕方になっています。
この点が、プロジェクトや業務の管理についてはしっかり行うが、人的資源の管理にはあまり注意を払わないということにつながっていると感じました。
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また、組織と言うのは、自己の能力を磨き優秀な業績をあげた人が上にあがっていくのですが、同時に、能力や業績に大きな影響を与えるその組織の価値観(組織文化)に最も適合した人が出世していきます。
そのため、トップの人が組織を変えようとすることは、自分の土台を一度壊すことになるため自己矛盾が生じます。よって、人や組織は外圧があった方が変わりやすいと言えます。
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そこで、今回自分は、組織外部から人材育成や組織開発をサポートする専門家となる道を選びました。
これからは、「土木構造物をつくるサポート」から「人や組織をつくるサポート」をすることを通じて、社会に貢献したいと思います。
3.最後に「ドラクエ人生論」より
レベル20になったら転職するだろ。レベル1に落ちるのが怖くて魔法戦士になれるか。
もし強い敵にやられても、教会からやりなおすだけだ。お金はなくなるが、経験は残っている。