チームで取り組む問題解決

 ここ数か月は、そして今も、世界中の人が、コロナ対応で日々様々な問題を解決すべく奮闘されているのではと思います。


 そこで、以前も紹介した、名著「問題解決」(著:高田貴久、岩澤智之)から、問題解決を学ぶ意義を振り返ってみました。
 そして、チームのメンバーそれぞれが問題解決の手順の中のどこを担っているかを認識することで、より効率的で効果的な問題解決ができるようになります。

 

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Iceland, Feb. 24, 2019


1.問題解決の手順
 問題解決の手順は以下の3ステップとなります。
 ①現状分析(Where)・・・どこで問題が起きているのか?
 ②原因分析(Why)・・・その問題の原因は何か?
 ③対策立案・実行(How)・・・ではどうすればよいのか?

 

2.各チームメンバーの役割

2-1 若手
 若手の役割は、何と言っても、対策を実行すること(How)です。
 確実に素早く対策を実施する必要があります。
 
 ただし、ただ指示された対策をこなしているだけでは成長できません。
 「対策実行」の少し前の「対策立案」や、さらに前段の「原因分析(Why)」の議論の過程を振り返ったり、自ら考えてみたりすることが大切です。

 

 この前段が把握できることによるもう一つの効果は「モチベーションが上がる」ことです。
 私自身の経験を振り返っても、なぜこれをやるのか分からない作業は苦痛でしたし、背景がわからないと自分なりに工夫することもしづらかったです。

 

2-2 中堅
 中堅の役割は、「原因分析(Why)」も大切ですが、それ以上に「現状分析(Where)」が大切です。


 なぜなら、中堅にもなると、段々と「大きな問題」に立ち向かう必要があるからです。

 例えば、売り上げが落ちているという問題に対して、どこで問題が起きているのか(where)を明らかにするために、売り上げを地域別、商品別、時間帯別、消費者属性別など、さまざまな切り口で分析する必要があります。

 そして、どういった切り口や観点から分析をするのかについては、若手よりも経験が豊富な中堅の方が適任でしょう。

 

 「現状分析なんかは、若手の仕事ではないか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
 確かに、地域別で売り上げを分けてみる、といった作業であれば若手にやってもらっても良いでしょう。
 しかし、繰り返しになりますが、どういった切り口や観点から分析するのかが非常に重要なのです。
 先の売り上げ減少の分析にあたって、ひたすら機械的に、国別、県別、市町村別と細かく分けていったところで、何も見つからないということもあり得るからです。

 

 また、もしこの「どこで問題が起きているのか(where)」を間違えると、対策(How)を実行しても全く問題の解決につながりません。

 

※whereの重要性については、以前のブログの例をご覧ください。
↓関連する過去のブログ

問題解決の手順 - うめさんブログ

 

2-3 管理職、そして経営層
 若手、中堅が、問題解決の3ステップである①where→②why→③howをやるとしたら、管理職は何をするのでしょうか?

 それは、問題を設定することです。
 さらに言えば、あるべき姿や望ましい状態を設定することです。
 何を目指すのか?(What)に答えることと言えます。

 

 問題とは、あるべき姿と現状のギャップのことです。
 あるべき姿が明確になってこそ、問題が浮かび上がってきます。

 

 管理職レベルにもなれば、若手や中堅が行う問題を特定し、原因を考え、対策を行うことは一通りできるでしょう。
 重要なのは「誰が見ても分かる」という次元の問題に対処することではなく、将来を予測し、高いレベルのあるべき姿に基づいて「問題を設定する」ことが求められます。

 

3.チームで問題解決

 話を分かりやすくするために、若手、中堅、管理職と分けましたが、仕事において、たった一人で問題解決を行うことはありません。

 

 若手であっても、原因分析や現状把握をしたって良いですし、中堅であってもあるべき姿を議論しても良いでしょう。
 

 なにより、独りで考えられるアイディアには限りがあります。
 チームで思考することで、より良いアイディアが生まれますし、確実に対策が効果を生むでしょう。

 

 組織の視点に立って、若手を支店、中堅を支社、管理職を本社と言い換えてみても、同じことが言えます。

 戦略を考える本社から、現場を預かる支店までが一丸となることで、問題が解決できます。

 

 こういったチームで問題解決を促進するカギは、やはり管理職(もしくは本社)です。
 
 管理職(もしくは本社)の方々がついやってしまいがちなのは、自分自身の中ではあるべき姿が明確であり、さらにそこからwhereやwhyを考えることもできてしまうため、howだけ、つまり対策だけを部下(もしくは支社や支店)に指示しがちということです。

 

 このhowを伝えることだけをしていると、部下がだんだん考えなくなります。
 もし「部下が考えなくなった」というお悩みをお持ちならば、それは管理職であるあなたが優秀すぎて言葉が足りないからかもしれません。


 是非ご自身の考えや思いを部下に伝えてあげてください。

 そして、チーム一丸となって問題を解決していきたいですね。

 

↓関連する過去のブログ

察するのにも限界があるから話す - うめさんブログ

 

 最後に、原著では、問題解決の手順を理解するだけでなく、「問題を解決できるようになる」という点にこだわって、具体のやり方を分かりやすく丁寧に解説されています。是非原著もお読みください。 

 

参考)

「問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術」 2014/3/6
高田貴久 (著), 岩澤智之 (著)