画像:pixabayより、Gerd Altmann氏の作品
以前は部下を叱る上司は多かったようですが、最近はパワハラなどに敏感になりすぎて叱ることができない上司が増えていると聞きます。(注:パワハラは絶対にダメです。)
そのような状況に加え、管理職の方は、コロナウイルスのために、4月入社の新人や異動してきた部下に対して十分な指導をすることが難しかったのではないでしょうか?
それでも非常事態宣言が解除され、明日6月1日からは、コロナウイルスへの対応をしつつも、様々な業務の遅れを取り戻さなくてはならず、そのためには部下にも頑張ってもらわなくてはと、思っている方も多いでしょう。
そこで今回は部下への指導方法の一つである「フィードバック」を取り上げます。
以前、部下の能力を伸ばすには、まずは、部下自身の振り返りをサポートすることが有効と言うお話をしました。
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その「振り返り」をサポートする手段の一つがフィードバックですが、学術研究によると、それには効果的なやり方があります。
効果的なフィードバックの方法:
- 事実に基づき
- 行動ベースで
- 部下自身の興味が高いトピックについて
- 問題が顕在化したタイミングで
フィードバックを行う。
例えば、遅刻が続いている部下に対してフィードバックするのであれば、「いつ・何回・どの程度遅刻したのか」をしっかり把握しておく必要があります。[事実ベース]
「最近やる気がない」と指摘するのではなく、「昨日と今日も遅刻をした」という行動に焦点を当てなければなりません。[行動ベース]
別の例では、コミュニケーションの向上に関心がある部下に対しては、遅刻のことよりも、お客様の前でのプレゼンの仕方について指摘した方が良いです。[部下自身の興味が高いトピック]
応用例としては、「落ち着いてプレゼンできるようにするために、30分早めに来きて、機材のチェックをしよう」と伝えれば、遅刻も改善するかもしれません。
さらに、期末の面談の時にまとめて指摘するよりは、お客様へのプレゼンに失敗したら、(その日は自分自身で反省させるとしても)、翌日にはフィードバックをしてあげた方が良いです。[問題が顕在化したタイミング]
(※ここからは私が気づいたことです)
このフィードバックの方法を見ていると、上司側としても冷静にフィードバックできる、つまり、怒りに任せて指摘するということを防止できます。
また部下側としても、行動としてやってしまったことなので受け入れるしかない、もしくは関心があるトピックなので受け入れやすいでしょうし、何を改善したらよいかも明確です。
さらに褒めるに際しても、事実ベースで褒められた方がモチベーションがあがるという研究成果もあります。
部下に指導しようと思った時、どうやって怒ろうか、とか、どうやって褒めようかと考えるよりも、まずは手元に上記の4点をメモしてから部下に声をかけてみてはいかがでしょうか?
※最後に、本書は、一般的に信じられている人や組織に関する常識を、研修者が発見してきた原理や原則から見直してみるという試みがなされています。採用や育成、評価など様々なトピックについて、1項目数ページで書かれていて手軽に読めます。是非本書もお読みください。
参考)
「組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス」, 2020/3/28, 曽和利光, 伊達洋駆