組織の多様性が増すと、、、

 

 多様性、大切ですよね。


 「人はそれぞれ、容姿や価値観などが異なる」ということを受け入れていくことは、自分も他人も「自由」に生きていくうえで重要です。

 

 そして、多様性は職場にも生じてきています。

 

 

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出典:Gerd AltmannによるPixabayからの画像 

 

 「職場の多様化」とは、「職場のメンバーの働き方、雇用形態、考え方が一様ではなく、多様になってきていること」※1です。

 確かに、新卒一括採用だけでなく中途採用も増えてきましたし、非正規雇用も増えてきていますし、フレックスタイムやテレワークなども増えてきています。結果として、一つの組織の中に、多様な価値観を持つ人が増えてきています。

 

 ビジネスの上で、組織が多様性を確保する理由としては、差別の撤廃と言った面もありますが、創造力の向上という面も大きいように思います。

 創造力とは、0から1を作り出す力であったり、1+1を2ではなく3や5にするような今までにない組み合わせを生み出す力だといえます。型にはめるのではなく、型を外すことともいえます。

 

 とするならば、当然多様性が高い方が、創造力は上がることとなります。

 なぜなら、いろんな意見や考えを持った人がたくさんいるからです。

 

 ところが、この多様性は、組織にとっては「遠心力」として働くことになります。

  

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出典: 中原淳、中村和彦 「組織開発の探求」 一部改

 

 それはそうですよね。

 みんないろんな考えがあるのですから、上層部が「こうしよう」といっても「いやそうじゃない」といった反対意見がたくさん出てくることになるからです。

 

 多様性が高まれば高まるほど、この遠心力が大きくなります。

 

 組織とは、「ある目標や意図を持って何らかの活動をしている人々の集合体」※2です。
 目標や意図をすり合わせなければ組織としての力が発揮できません。

 多様性が増すと、この目標や意図のすり合わせが非常に難しくなるのです。

 

 この多様性ですが、ITの進歩とともに今後ますます加速していくでしょう。

 身の回りを見ても、youtubeなど、個人の好みに合わせたコンテンツの提供が進んでいます。
 SNSを使えば、会社と言う組織の外に、たくさんのつながりが簡単に作れます。

 折しも、コロナ禍でテレワークが進んできており、会社(組織)は、職場に来ていないメンバーを完全に把握することは困難になりつつあります。

 

 組織としてまとまって動く、つまり組織であることのメリットを十分に生かすには、「遠心力」に対する「求心力」が必要です。

 

 ここで難しいのは、多様性を殺してしまっては意味がないということです。

 会社が「求心力」として管理や統制を効かせようとしたのでは、何のために多様性を推進してきたのかが分からなくなってしまいます。
 加えて、今後は、管理や統制という名の「求心力」は、メンバーから嫌われる原因となりかねません。

 

 最近改めて事業の目的や、ビジョン、ミッション、バリュー、さらにはパーパスなどが脚光を浴びていますが、「何のために働くのか」という『目的』は「求心力」の大きな一つとなりうるでしょう。

 

 何が「求心力」となりうるのかは、別の機会に述べたいと思いますが、その鍵は「モチベーション」にあると考えています。

 

 そして、私のイメージする理想の組織は、ブログ冒頭の図のように、多様性による遠心力の勢いを殺さず、むしろ加速しつつも少しずつ中心部に向かって向きを変えて「求心力」となり、それが螺旋を描いてどんどんと高みに上っていくというものです。

 自分の興味や関心を大切にして、組織の外とも自由に広く交流を持ちつつも、自分にとっても重要なこの目的を達成するためには、このメンバーとでないとという感じで組織に戻ってくるという感じです。

 

 「いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社、それが最強だ」※3とも言えます。

 そんな組織作りを目指していきたいです。

 

 


出典:
※1 中原淳、中村和彦 「組織開発の探求」
※2 中村和彦 「入門 組織開発」
※3 北野唯我 「転職の思考法」