『プロジェクトマネージャーとしての知識』

プロジェクトマネジメント(第1回)

 

 長年公共事業にかかわってきましたが、改めてプロジェクトマネジメントについて学びました。

 このプロジェクトマネジメントを学ぶ中で最も印象に残ったのは、「プロジェクトマネジメントはかなりの程度形式化することができ、その形式にのっとることで、誰もが効率的かつ効果的に、そしてリスクを最小限にしつつ、プロジェクトを進めることができる」のではないか、またこの体系化されたプロジェクトマネジメントの知識を用いることで「自分の社のプロジェクトの進め方を客観的に見直し、改善することができる」のではないかということでした。
 
 これから学んだことを復習していきたいと思いますが、プロジェクトマネージャーが知っていなければならない10の知識分野に沿って、紹介していきたいと思います。(下図)

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 10の知識分野には、要件管理、時間管理、コスト管理、品質管理、リスク管理、調達管理、関係者調整、人的資源管理などがあります。どれも大切ですし、それぞれちゃんと学ぶにはかなりの時間が必要ですが、教科書に「10分野は全てある程度知っていなければならないが、その中でも、ハイレベルな関係者との調整、人事や育成などの人的資源管理、組織内のコミュニケーション管理にマネージャーは注力すべき」とありました。

 これは、支店長(≒プロジェクトマネージャー)時代の自分の意識とも一致していて、少し嬉しかったです。
 例えば、支店長としてプロジェクト全体のコストは常に把握していましたが、コストは私だけが管理していたわけではなく、副支店長も、各部署の課長もしっかりそして事細かに管理しており、さらにコスト管理のための手続きも確立されたものがありました。
 しかしながら、例えばハイレベルな関係者との調整は、支店長という肩書きがあるから会っていただけるという側面がありましたし、人事などは人事権がある支店長にしかできないでしょうし、部署をまたがるコミュニケーションは支店長の方がやりやすいでしょう。

 ついつい、自分がマネージャーになる以前に身に着けた知見(つまり得意分野)に基づいて、支店長でなくてもやれる仕事に口を出してしまうことがありますが、これをやりだすときりがなく、何より支店長しかできない仕事ができなくなってしまいます。

 

 次に、プロジェクトマネージャーは、プロジェクトを成功させるため、この10の知識分野を使って、「Scope」「Cost(コスト)」「Time(時間)」という3つの制約を克服しなければなりません。
 自分は、この「Scope」が何なのか、どう日本語に訳したらよいのか、がなかなか良く分かりませんでしたが「Scope(要件)」と訳せるのではないかと思います。プロジェクトを成功させるために、満たさなければならない「品質」や「機能」、「量」、そして少し要件という日本語の意味からは外れる感じがしますが、やらなければらならい「作業(タスク)」のことです。

 この「Scope」「Cost」「Time」はお互いに連動し、プロジェクトの進捗に応じて修正する必要が出てくることもありますが、まずはこの「Scope」を明確にする必要があり、この「Scope」の修正に際しては十分な検討が必要です。「Cost」や「Time」は「Scope」に比べると数字で管理することが容易であり、またプロジェクトのスポンサーも気にするところではありますが、この「Scope」をないがしろにしては、プロジェクトの成功にはいたりません。

 

参照:
 Schwalbe, K. (2015). Information technology project management (Eighth ed.)
 Project Management Institute. (2017). A guide to the project management body of knowledge (PMBOK guide) (Sixth ed.). Newtown Square, Pennsylvania: Project Management Institute, Inc.