データと研究成果に基づく人事を

人的資源管理(第4回)です。
 
 人事部門の人は、社員のことを隅々までよく知っていて、また人事制度の細かな運用について詳しく、その人事担当者の「人脈と知識」に基づいて人事を行っているというイメージがあるかもしれません。
 
 が、これからの人事は、「データと研究成果」に基づいて行う必要があります。ましてや、人事担当者が数年おきに代わる場合は、なお一層、データと研究成果という拠り所が重要となります。以前はデータの取得・分析・保存が大きなネックでしたが、ITの進展により十分可能になってきています。
 
 例えば、採用活動においては、以下のデータをとることが可能です。
 ・採用活動に要したコスト
 ・応募者数
 ・採用数
 ・実際に入社した人数
 ・入社数年後に残っている人数
 ・入社後の業績
 等々。
 
 ある研究成果によれば、採用活動においてよく行われる面接において、「それぞれの応募者に対して面接官が自由に質問をした場合(unstructured)」と「質問項目を定め、全ての応募者に対して同じ質問をした場合(structured)」において、後者の場合の方が優秀な人材を確保できる可能性がはるかに高いことが分かっています。
 
 また、グーグルでは、「面接回数」と「優秀な人材を確保できたかどうかという結果」の相関をとり、面接回数を増やしても優秀な人材が確保できるわけではないと結論付け、面接回数を減らしています。
 
 そして、人事部門も、上述のデータに加え、売上等の経営にかかわるデータをもとに、経営陣による評価を受ける必要があります。人事部門は経営陣に近い部門であり、しばしば評価する側一辺倒であることがありますが、データをもとに評価されなければなりません。
 
 これからの人事は、より一層シビアなマネジメントが求められています。
 
出典:
 Cascio, W. F. (2016). Managing human resources: Productivity, quality of work life, profits (Tenth ed.)
 Bernardin, H. J. (2013). Human resource management: An experiential approach (Sixth ed.)