上司だったり部下だったり

 自分自身の人事異動を振り返って、面白かったと思うのは、担当→係長→課長補佐→課長というように直線的に役職が上がっていくのではなくて、支店ー支社ー本社を異動する中で、一度上司として管理職を経験しても、また部下に戻ったりした点です。

 

 例えば、自分は、本社の係長から支店の課長へという「部下から上司(管理職)にあがる異動」もしていますが、支社の課長(管理職)から本社の課長補佐へという「上司(管理職)から部下にさがる異動」をし、そのあとさらに支店の支店長へという「部下から上司(しかも上級管理職)にあがる異動」をさせてもらいました。

 

 この異動をすることで、少しずつ管理職としてのマネジメント能力を磨いていくことができるという非常に優れた仕組みなのですが、今回は、私自身が、部下だった頃と上司だった頃感じていたことを振り返り、上司と部下のすれ違いを挙げてみました。

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部下の方々に教えてもらったこと - うめさんブログ

 

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Houston Museum of Natural Science, Aug. 2017
 

 

部下:「また課長から無理な指示がきた、、、」

上司:部下をよりレベルアップさせるために、ぎりぎりのところを狙って指示したつもりだった。また自分の頭で考えてほしいと思った。

 そもそも、成果を上げるのが管理職の仕事であり、本当にできない仕事を部下に割り当てて成果が上がらなかったら自分の責任になってしまうので、そんなことはしないはずです。

 

 ただし、レベルアップさせようという意図があるならば、上司は命令するだけでなく、命令した後フォローしなければなりません

 依頼した案件の背景を教えたり、目的を明確にしたり、とっかかりやヒントを与えたり、スケジュール管理を手伝ってあげる必要があります。

 

 

部下:「課長の指示がコロコロ変わる、、、」

上司:部下が持ってくる情報の内容や精度、タイミングが変われば、当然判断も変わる。また部下と上司では同じ案件に対しても気にかけている点(視点)が違う。

 

 ただし、上司の方が情報を多く持っていることも多いので、適切に上司から部下へ情報を伝えなければなりません。また、案件ごとにどういった視点を優先して判断しているのかという判断基準を伝える必要があります。

 例えば、この案件は、万が一の場合事故につながる可能性があるから、コストより安全性を優先するなど。

 

 

部下:「課長が全然話を聴いてくれない、、、」

上司:部下の話が要点を得ない。いきなり背景事情から延々と話し始め、いつまで経っても報告なのか相談なのかも分からない。そして、とにかく忙しいので、つい部下の話をさえぎって、自分が話し始めてしまう。

 

 ただし、まずは部下との信頼関係を築くために聞く姿勢を持つ必要があります。

 また部下の方が自分よりもずっと現場に近いので、一旦話し終わるまで待つことで、自分が見落としていることに気づけることがあります。

 さらに、特に相手が若手であれば、落ち着かせるために部下が用意してきたであろう資料の説明は一通り聞いてあげた方が良いし、最初に「今回は報告かな?相談かな?」と尋ねても良いし、「一言で言うと何かな?」と助け船を出してあげると良いと思います。忙しいならば、「〇分は時間あるよ」と時間を最初に伝えるもの良いです。

 

 

部下:「課長の指摘が細かすぎる。」

   「細かい指摘ばかりで、肝心のことが相談できなかった、、、」

上司:重要な案件について議論をしようとしているのに、部下の持ってきた資料の「てにをは」すら間違っていたり、簡単な事実確認すらしていないようでは、部下の能力に不安を覚え、どんどん指示が細かくなっていってしまう。

 

 ただし、上司は、部下が持ってきた案件に対して、限られた時間の中で何を議論し結論を出さなければならないのかを考え、重要な事項から指摘し、些末な案件は最後に指摘したほうが良いです。

 これは、部下も最初に言われたことから対処してしまうことが多いので、その点を防ぐためでもあります。

 

 例えば、重要な会議に使う資料について部下から相談があったのならば、何をその会議で議論するのかという議題を決めることがまず重要であり、その議題を決めずに「てにをは」や「資料の体裁(文字の大きさや色)」といった些末なことから指摘し始めると、肝心なことにさける時間が無くなってしまいます。

 

部下:「うちの課長はすぐに資料を無くす。」

   「すぐに案件を忘れてしまう。」

上司:ごめんなさい。だんだん年を取ると記憶力も低下してしまうんです。ということもありますが、やはり案件が多く覚えていられないし、資料もどこかに埋もれてしまいます。

 

 そのため、自分は部下だった時、上司に資料を渡したときは、予備を一部取っておいて、同じ資料を要求された際に渡せるようにしていました。

 また上司になったとき、何度も部下に同じ資料をお願いするのが申し訳なくて、クラウド型の情報共有ツールを導入しました。

 

 

 このように、部下と上司の立場を交互に経験し、すれ違いを認識できたことで、部下の立場で感じたことを上司の立場になったときに改善したり、逆に上司の立場で感じたことを部下として改善したりできたのは、人的資源のマネジメントを学ぶ上で、非常に有意義でした。(もちろんまだまだ未熟な点も多くあると思います。)

 

 そして、上に挙げたようなすれ違いは、とかくコミュニケーションが不足していると起こります。

 昔は「俺の背中を見て学べ」「俺の技を盗め」といった指導方法で良かったかもしれませんが、組織内の多様性が増している中、まずは一言二言で良いので、上司の側から言葉を足す必要がありますし、それ以上に部下が上司に尋ねやすい雰囲気を作っていくことが大切だと思います。

 

問題解決の手順

 今回紹介するのは、「問題解決」(著:高田貴久、岩澤智之)という名著です。

 

 この本、自分は仕事を始めたばかりの20年前に読んでおきたかったです。

 そして、一緒に仕事をする仲間全員がこの「問題解決」の基本的な手法を共通言語として使えるようになったら、今よりずっと良い仕事ができるように思います。

 

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 さて、何か問題が起こると、その問題を解決しなければならないわけですが、問題を解決しようとして、「よしっ、この対策をしよう!」と思い付きで対策を打ってはダメなのは分かると思いますが、「なぜこの問題が起きたのだろう?」と原因を考えるのもダメなのです。その前にするべきことがあります

 

 本著から、以下の分かりやすい例(一部改)を紹介します。

 

1.体調不良という問題

 

 友人から「体調が悪いんだけど、どうしたらいい?」と言われたら、あなたならどうしますか?

 

①How

『薬飲んだら? よく効く薬知ってるよ。』

『栄養があって消化がいいもの食べたら?』

『早く寝るといいよ。』

『医者に行くといいよ。』

 

 これらの回答は、体調が悪いという問題に対して、「どのようにするか」という対策を打つことを提案しています。

 これを「How」と呼びます。

 

②Why

『最近夜ちゃんと眠れてる?』

『昨日飲みすぎたんじゃないの?』

 

 これらの回答は、問題の原因を探るものであり、なるほどいきなり対策を打つよりは効果的に見えます。

 これを「Why」と呼びます。

 

③Where

『どこが悪いの?』

『頭が痛いの?』

『お腹の調子はどう?』

『熱はある?』

 

 これらの回答は、体調が悪いという事象に対して、具体的にどこの調子が悪いのかという、どこに問題があるかを特定しようとしているものです。

 これを「where」と呼びます。

 

 

2.問題解決の手順

 

 さて、もし友人の体調の悪い原因が、軽い脳出血であった場合、どうなるでしょうか?

 

 ①Howで提示した対策の中にあった、薬を飲んでも食事をとっても意味がないでしょうし、寝てしまっては手遅れになるかもしれません。

 医者に行くというのは良い対策ですが、そのほかの対策をしているうちに、医者に行くのが遅れてしまうかもしれませんし、適切な診療科にかかるまでに時間がかかるかもしれません。

 

 次に②Whyを聞いて、それをもとに対策を打ったとします。

 例えば、『夜眠れている?』に対して『眠れていない』と答えがきたら、じゃぁ『今晩は早く寝よう』という対策を提案したとすると、前述のhowと同じで、意味がありません。

 『眠れている』と答えたら、この原因については検討しなくてよくなったわけで、意味はありますが、別の原因を探す必要があります。

 

 「why」を考えることはいきなり「how」をやるより意味がありそうですが、「why」を考える前にやるべきことがありそうです。

 

 ③Whereはどうでしょうか。

 『どこが悪いの?』『頭が痛いの?』『お腹の調子はどう?』『熱はある?』というのは、体調が悪いという現象を、体の部分ごとに区分けして、どこに問題があるのかを探っていっています。

 ここで『頭が痛い』という回答が得られ、さらにどのように頭が痛いのか、いつから頭が痛いのか、どんな時に痛むのかと言ったことをしっかり聴き出すことができれば、そこからそういった現象に結びつくであろう原因に絞って「why」を考えることで、より的確な原因を見つけることができ、それにより最も効果のあるhow、つまり対策を導くことができるでしょう。

 

 「where」を考える、つまり問題の所在を明らかにすることの重要性は、「how」や「why」から考えてしまうと、全く問題解決に至らない場合があるということです。

 

 前述の『薬を飲む』という「how」は役に立ちませんし、「why」から考えた『早く寝る』という「how」も役に立ちません。

 

 慌ててhowやwhyに飛びつかず、どれだけwhereの段階に留まれるか、つまり問題の所在を明らかにできるか、がポイントです。

 

※補足 上記はあくまでhow-why-whereを理解するための例なので、あなたが頭の病気に関する専門的知識を持っているかどうかは考慮に入れていません。ただし、あなたが専門的な知識を持った医者でないとしても、『どこが悪いのか』を丁寧に聞いてあげることは、本人が問題を認識するために有意義なはずです。

 

 

3.whereの訳

 

 このwhereにとどまるというのは、いわゆる「現状分析」にあたります。

 

 まずは「現状分析」をし、そのうえで「原因分析」をし、「対策」を検討するという極めて当たり前な流れです。

 

 ところが、私の経験上、この「現状分析」と「原因分析」、つまり「where」と「why」を混同しがちでした。

 

 以前紹介した書籍「ファシリテーションの教科書」でも、「whyに飛ばず、whereに留まることが問題解決の肝」と述べられていましたが、私はなかなか理解できませんでした。

 

 どうもそれはwhereの訳し方にあったように思います。

 

 私はこのwhereを『どこに問題があるか?』『どこが悪いのか?』と訳してしまっていたのですが、この訳し方だと、前述の体調が悪いという事例で言うと、『寝不足が問題だ』とか『昨晩早く寝なかったのが悪い』という回答がでてきてしまい、すぐにwhyと混同してしまいます。

 

 それで自分なりの新たな訳としては、『どこで何が起きているのか?』としました。

 

 この問いによって、あくまでも事象として起きていることに集中し、そして事象を細かく分解し、事実だけを追っていく。

(先の事例では、体の部分ごとに調子を確認していく、もしくはいつ痛みが出るかと言う時間ごとに確認していく、ということになります。)

 

 さらに言えば、普段と同じことが起きている部分を特定しても意味がないので、『どこで特異なことが起きているのか?』という訳し方もできます。

 

 

4.さいごに

 

 この「where」に留まることは、効率的に効果的な対策を打つことに必要なことなのですが、「How」だけで動いても「Why」だけで動いても、偶然効果的な対策を打つことができることもあります。

 しかし、問題は「リソース」です。

 

 「how」だけで動いたり「why」だけで動いたりすると、非常に多くのリソース、つまり時間、お金、人員が必要となります。

 

 問題を目の前にして、何か対策を打たなければならないと焦って、最初に思いついたhowから始めてしまったり、思いついたhowをすべて実行しようとしたりしていると、どんどん忙しくなります。そして、忙しくなればなるほど、whyやwhereを考える時間が無くなり、さらにhowが増えていくという、悪循環に陥ります。

 

 時間は限られているかもしれませんが、限られているからこそ、whereにとどまり、『どこで何が起きているのか?』を明らかにする必要があります。

 

 ここで紹介した例(※私の方で一部改)は、本著の最初のわずか2ページほどで述べられていたものです。

 本著では、問題解決の具体の流れを丁寧な言葉と分かりやすい図で解説されており、またその解説に加えて、売り上げが落ちてきている架空のメーカーの奮闘をストーリー仕立てで紹介するなど、非常に分かりやすくも実用的で内容の濃い図書となっています。是非、本著もお読みください。

 

参考:

「問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術」 2014/3/6
高田貴久 (著), 岩澤智之 (著)

 

「ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ」 2014/10/31, グロービス (著), 吉田 素文(執筆)

 

eラーニングの特徴

 コロナウイルス対応で、いろんなことが一気にオンラインに移行しつつありますね。

 ITを使って同じことができるだけでなく、より便利に、そしてより生産性が上がるのであれば、どんどんオンラインに移行してほしいです。

 

 このオンライン化ですが、従来人が集まって行っていた研修も大きな影響を受けています。

 そして、春になれば、多くの新入社員が入ってきます。すでに今まで通りの一堂に会する形での入社式は行わないと発表した企業もありましたが、入社式の直後から行われる新入社員研修をどうするかも考えなければなりません。

 

 そこで、eラーニングの特徴を、参考図書と自分がオンラインで学んだ経験を踏まえ、整理してみました。

 

1.eラーニングの特徴

 下の図はE-learningの特徴を示したものです。

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 図の右下から順に、、、

 

①Delivery

 なんといってもンターネットを通じて学べることで、どこにいるかに関係なく学べるのがいいですよね。

 

 大きな会社になれば、全国に支店があり、また従業員も大勢いるでしょう。それを何人か単位でひとところに集めていては、交通費や宿泊費などの費用も掛かりますし、全従業員が学び終わるまでに非常に長い時間がかかってしまいます。その点、オンラインであれば、多くの従業員を対象に、自宅や会社で、空いた時間に、トレーニングすることが可能です。

 

 ただし、インターネットを通じて研修を提供するとなると、個々人のパソコンで確実に動くのかどうか、さらには、スマートフォンやタブレットで動くのかといったことは事前にしっかり検証しておかなければなりませんし、ユーザーが使いやすいようにインターフェイスを工夫したりといったことも必要です。この点は意外とコストがかかりますし、研修生のモチベーションにも影響するので、十分な予算を確保しておく必要があります。

 また、研修を提供する側の視点に立つと、提供したコンテンツを研修生のみが使えるようにコントロールすることも必要です。つまり、アクセスを制御したり、コンテンツをいたずらに複製されないようにする必要があります。デジタルで提供するということは、簡単にコピーできてしまうということです。そして、一度コピーされたものはあっという間に拡散されてしまいます。こういったことを防ぐためのコストも重要です。

 

②Administraiton(運営)

 研修を運営する側の視点に立つと、オンラインを通じて研修をすることで、研修生の進捗をモニタリングできるようになります。

 例えば、どこまで教科書を読んだのか、読むのにかかった時間はどの程度か、どこまで問題を解いたのか、どの問題の正答率が低いのかなど、を把握することができます。

 そして、それらを踏まえて研修テキストなどのアップデートが比較的容易と言うのも大きな特徴です。

 

③Link to Resources

 オンラインで学ぶということは、広大なネットワークにつながっているということであり、ネットワークでつながっているそのほかの教材を活用することが可能です。

 例えば、Youtubeやwebで提供されている試験などとリンクを張れば、それらも活用できます。

 

④Learner Control

 オンラインでは、研修生が学びやすくするために、色々なことができます。

 まずは演習です。練習問題を提供したり、シミュレーションを提供したりできます。

 次に、研修生は自分のペースや好きな場所で学びを進めていくことができます。

 この点は社会人にとっては大きな利点です。決まった時間に決まった場所に行く必要がなく、仕事が比較的忙しくない平日や、休みの日に、学んだりできますし、スマートフォンやタブレットでも学べるのであれば、通勤時間中の電車の中や外出先のコーヒーショップでも学べます。

 

 また、個々人にフィードバックを返してあげることができます。②運営のところで述べた進捗状況のモニタリングともつながりますが、一人一人の進捗状況が分かれば、それに応じた細かなフィードバックを行えますし、講師と研修生の間でやりとりすることもできます。

 

 さらに、提供するコンテンツ(教材)を、理解度に応じてカスタマイズすることも可能です。

 例えば、小学校での教室での学びは、どうしても理解度が真ん中ぐらいの人に合わせて行われます。すると、理解が進んでいる人と理解が遅れている人は効果的・効率的に学ぶことができません。それが、オンラインであれば、理解が進んでいる人は先のコンテンツ進めたり、理解が遅れている人は、少し前の基礎に戻ったりできます。 

 

⑤Collaboration and Sharing

 教室に集まって学ぶのと異なり、オンラインでの学びは一人一人に合わせた学びができる半面、独学になりがちです。

 もちろん決まった時間にオンライン上で集まって学ぶことはでき、場所に関係なく集まれるという利点はありますが、教室に集まった時とは異なり、パソコンの画面を通じてつながるため、なかなかコミュニケーションがとりづらいものとなります。

 

 そこで重要なのが、オンライン上にコミュニティを作ることです。

 例えば、一緒に学ぶメンバーの自己紹介サイトを作ったり、誰かが講師にした質問とその回答を掲示板で共有したり、あるトピックについて掲示板で意見交換をしたり、毎週決まった時間は先生とTV電話で直接つながることができるようにしたり、といった工夫が必要です。

 (少し話が変わりますが)オンライン上にコミュニティを作るにあたっては、Facebookのようなフローの情報を集める場と、ブログのようにストックの情報を集める場を目的に応じて使い分けると良いと思います。

 

 このオンラインコミュニティの良いところは、(もしそのコミュニティの維持費用を研修提供側が維持してくれれば)、研修が終わった後もフォローアップして学んだことの定着をはかったり、研修で知り合った仲間と学びを継続することができます。

 

⑥Content

 いろいろな研修材料を使うことができます。文字で書かれたテキストだけでなく、ビデオやグラフィックやサウンドを使って効果的に学ぶことができます。

 例えば、今や英単語を覚えるときは音声や写真とともに覚えることできるアプリもできていますし、算数の図形問題をアニメーションで分かりやすく解説することもできますし、動画コンテンツを1.5倍速で再生したりといったこともできます。

 

2.オンラインとオフライン 

 今後ITの進歩に伴い、今まで以上にオンラインでの学びは増えてくるでしょう。

 とすると、オフラインで行われる従来の学びには何が求められるのでしょうか。

 

 「今までずっとやってきたからオフラインでやる。」

 「便利だから、コストが安いからオンラインでやる。」

 ということではなく、学ぶ内容やスキルに合わせて、研修生にとって最も効率的・効果的な学びを実現するために、オフラインでやるのか、オンラインでやるのかを決めるのが肝心です。

 今後は、オフラインの良いところとオンラインの良いところを組み合わせたハイブリッド型が増えてくることと思います。

 

参考)

Noe, R. A. (2017). Employee training and development (Seventh ed.). New York, NY: McGraw-Hill Education.

 

人的資源の特徴

 今回取り上げるのは、「経験から学ぶ人的資源管理」(著:上林憲雄、厨子直之、森田雅也/有斐閣ブックス)です。

 非常に分かりやすい教科書、おすすめです!

 

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Lincoln Memorial, Oct. 22, 2017

 

1.この教科書の特徴
 初めて人的資源管理を学ぶ人でも分かるようなやさしい表現で書かれているのに、根本的なところをつく解説がなされています。
 

 例えば、各種理論の解説においても、理論の説明だけでなく、理論の変遷や、理論の背景にある共通点、理論を実践する上での留意点など、単なる解説からもう一歩踏み込んだ解説がなされています。

 また、経営学は欧米で発展してきたことから、人を扱う人的資源管理における各種理論の背景にある文化等は日本と異なります。それらの違いを踏まえた上で、日本の組織にどう当てはめたら良いのか悩むことがあります。この教科書では、欧米諸国との比較において、組織の根本原理や基礎にある考え方の次元までさかのぼって対比しようとされています。

 さらに、もっと学びたい人のための図書が簡単な解説とともに紹介されています。

 

 さて、今回は、この教科書の中から、「人的資源の特徴」を取り上げます。この特徴があるから、自分は人的資源、つまりヒトに関心を持つようになったのだなと妙に納得しました。


2.人的資源の特徴
 企業が顧客に対して価値を提供するためには、資源(リソース)が必要です。

 そして、「リソース」には、ヒト、モノ、カネ、情報、知財があります。具体的には、働く人や設備、原材料、資金などです。
 
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 そして、人的資源は、以下の特徴を持っています。

 ①人が他の資源を動かす

 ②人は思考し、学習し、成長する

 ③経営者(管理者)の好き放題には使えない

 ④イノベーションが起こりにくい

 「①人が他の資源を動かす」とは、他の資源を使うに当たっては、必ず人が関わる必要があると言うことを意味しています。

 例えば、モノという資源である工場の機械を動かすのは、もちろん人です。カネという資源である資金をどこに投資するかを判断するのも、情報から何を読み取るのかも人です。

 「②人は思考し、学習し、成長する」とは、人的資源が生身の人間であり、日々思考し、学習を繰り返しながら成長していく主体的な存在であるということです。

 この特性があるからこそ、企業は採用後も、各種研修やOJT、異動、報酬制度等を駆使して、人材を育成しようとするわけです。

 「③管理者の好き放題には使えない」とは、②と同じく、人的資源が生身の人間であることから生じます。つまり、管理者である経営者や上司が、無理矢理働かせようとしても、従業員や部下には体力的な限界や精神的な限界があり、限界を超えると、管理者の言うことを聞かなくなったり、会社を辞めてしまったりすることが起こります。

 管理者は、従業員に配慮しなければなりません。

 「④イノベーションが起こりにくい」とは、人的資源を管理するための画期的なマネジメント手法が未だ発見されていないということです。これは他の資源と比較すると分かりやすいでしょう。

 例えば、モノの管理を扱う品質管理については、QCC(Quality Control Cycle:品質管理サークル)やTQC(Total Quality Control:全社的品質管理)、TQM(Total Quality Management:総合的品質管理)など、10年に1度ぐらいの頻度で新たなマネジメント手法が開発されています。

 カネに関するファイナンスにしても、様々な理論や手法が編み出されてきています。

 ところが、人のマネジメント領域については、汎用的かつ決定的なマネジメント手法というのは開発されていません。

 これは、②や③と同じく、生身の人間を対象としていることからでしょう。

 そして、このような4つの特徴を持つ人のマネジメントにおける永遠のテーマは、

  • 収益を上げるために厳しく管理しようとすればするほど、従業員は窮屈に感じて仕事がやりにくくなり
  • かといって、緩く管理してしまうとサボってしまう人が出てきてしまう

 という点なのです。

 


(ここからは私の考えです。)

3.気づき
 この①~④の特徴については、「当たり前ではないか」と思われるかもしれませんが、私にはこの特徴を忘れてしまっている経営層もいるのではと思えます。

 


 「①人が他の資源を動かす」と述べましたが、人を動かすのも人です。

 そして、人が、人以外のモノやカネなど他の資源も動かすことを考えると、「②人は思考し、学習し、成長する」の特性を最大限生かすために、もっと人材育成に力を入れても良いはずです。特に、人を動かす管理職の育成は重要です。

 

 スタッフ職から管理職へのステップアップは、連続的なスキルアップではなく、ジャンプアップするような隔絶感があります。

 つまり、担当→主任→係長というようにスタッフ職を歩む中で学んできたモノやカネなどの動かし方とは全く異なる、「人を動かす」ということを覚える必要があります。

 しかもそれは、社会人になってからそれなりの時間をかけて自分の型ができてしまったあとに新たなことを覚える、ということになります。

 それはハードルが高いことである一方で、人を動かすことを覚えると、今までスタッフ職としてモノやカネなどを動かすことがちょっと苦手だったとしても、十分に管理職として活躍できます。
 

 私が人事にかかわっていた時も、当然ある程度優秀なスタッフ職の中から中間管理職を選ぶわけですが、優秀であったはずなのに人を動かすことができずチーム全体のパフォーマンスを引き出すことができない人がいる一方で、中間管理職としてやっていけるかなと思った人がとたんに人を動かすという別の才能を発揮してチームを活性化させるということもありました。

 

 

 このように人材育成は極めて重要なのですが、まだまだ手薄なように感じます。

 それは「③管理者の好き放題には使えない」という特性を忘れている、つまり、人を好き放題に使えると考えている経営層がいるからだと思われます。

 

 例えば、「部下をどう使おうがとにかく成果を出せばいい」と思っている管理職も少なからずいます。

 パワハラがなくならないのは、法制度の問題ではなく、パワハラをしても「成果が上がっているならばよい」という形で経営層が黙認し、パワハラをした人を昇進させているからです。

 また、「部下が失敗したら、異動させて別の人を持ってこれば良い」と考えている管理職もいます。失敗した部下を正しく評価し、さらに人材育成の観点からフィードバックをしたうえで異動させているならば良いですが、部下の評価権限を持っている管理職が、自分の人を動かす能力の問題を棚に上げて、失敗を部下に押し付けているのであれば、問題です。

 

 
 さらに、「④イノベーションが起こりにくい」という特性から、上述のような問題を回避し、人を動かす万能の手法は見つかっていません。

 最近、ピープルアナリティックス(People Analytics)という、今までなかなかデータで表すことの難しかった人を対象に、「人事に関する慣行、プログラム、プロセスなどをデータに基づいて理解する手法」が注目を浴びており、私もどこかでしっかり学びたいと思っていますが、これも万能ではありません。人的資源のマネジメントに関する新たな知見をもたらしてくれるものだとは思いますが、その知見をどう生かすかも人ですし、生身の人間なのでデータから外れることもありうるからです。

 

 

 この4つの特性を踏まえ、個人の経験と勘だけで人的資源を管理するのではなく、様々な研究成果を活用しつつ、現場において地道に対話を積み重ねるといった取り組みが必要です。

  そして、だからこそ人や組織のマネジメントは面白い、と言えます。

 
参考:
上林憲雄、厨子直之、森田雅也, 2018.1, 経験から学ぶ人的資源管理, 有斐閣ブックス
中原淳、中村和彦, 2018.10, 組織開発の探究, ダイヤモンド社 
People Analytics:https://rework.withgoogle.com/jp/subjects/people-analytics/

 

読書メモ② 「新しい経営学」三谷宏治 リーダーシップ

 今回は、三谷宏治先生の「新しい経営学」の第2回目です。

 前回は、「ケイパビリティ」の中の「組織」を取り上げましたが、今回は「ヒト」、特に「リーダーシップ」を取り上げます。

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読書メモ 「新しい経営学」三谷宏治 『リソースよりもオペレーションが先』 - うめさんブログ

 

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1.ヒトに関する研究

 賃金が生産性に影響を及ぼすことを証明したフレデリック・テイラーや、賃金以外の作業場の人間関係等が人のモチベーションに影響を及ぼすことを見いだしたエルトン・メイヨーなどの研究から、次のことが分かっています。

 

 人間関係や賃金 ⇒ モチベーション ⇒ 生産性

 

 生産性を向上させるには、「モチベーション」を高めてやる必要があり、そのためには、良好な人間関係や適正な賃金が必要だということです。

 そして、この人間関係を扱う「人間関係論」には「リーダーシップ」や「組織文化」など様々な分野がありますが、今回は「リーダーシップ」を取り上げます。

 

2.リーダーシップの3類型

 リーダーシップに関する研究は、ざっくり言うと、「成功したリーダーには共通した特別な能力があるのではないか?」という問いに対する答えを見つけようとした特性理論から始まりましたが、結局は「状況によって変わる」という「コンティンジェンシー理論」が今は主流です。

 つまり、

全ての状況に適応する、唯一最善の普遍的リーダーシップは存在せず、リーダーの特性や行動は部下の成熟度や組織の硬直度で変わる

 というものです。

注)組織の硬直度:組織が硬いというのは、役割や所属、上下関係、指揮命令系統がはっきりしていることで、組織が柔らかいとはそれらが曖昧なこと

 

 色々なリーダーシップの型がありますが、まずは次の3つを紹介します。

 ①支配型:カリスマにより部下を絶対的に支配

 ②サーバント(支援)型:部下を支え導く、部下のためにつくす

 ③コラボレーション(共同)型:部下とともに考え働く

 

 ①支配型の例としては、上意下達型の官僚組織や、Appleを復活させたスティーブジョブズなどです。

 「恐怖と熱狂」によって従業員を鼓舞し、組織一丸となって邁進することで大きな成功を上げることも可能ですが、カリスマによる絶対支配は組織に以下の3つの副作用をもたらします。

  • トップの独善化(誰も上に意見ができない)
  • 社員の自律性低下(みんな上を見て動く)
  • 後継者の育成難(カリスマの代わりは務まらないし育たない)

 

 ②サーバント型の例としては、ソリューションビジネスへの転換を成功させてIBMを救ったルイス・ガースナーやサンリオピューロランドを救った小巻亜矢館長がいますが、以下の特徴があります。

(事例の詳細は是非本書をご覧ください。)

 

  • スタイル:自らが先頭に立ち模範を示しつつチームを引っ張っていくのではなく、自分は前面に出ず、チームの力を引き出すことを重視。
  • 意思決定:手続き重視の階層型ではなく、即断即決のフラット型
  • モチベーション:業績目標達成だけでなく、他者(ヒト)をより良く変えること自体に喜びを見いだす

 

 ③コラボレーション型の例としては、新商品が軒並み不発に終わっていたP&Gを救ったアラン・ラフリーがいますが、このリーダーシップの型は、「オープンなネットワーク型の組織・プロセス」をリードするのに有効です。

(事例の詳細は是非本書をご覧ください。)

 

 オープンなネットワーク型の組織・プロセスは、外部の変化に柔軟に対応できますが、とても複雑で、不確実です。すべてを予測し、コントロールすることはできません。

 そんな時、個々の専門性や外部との協力を重視し、複雑性や曖昧さに耐えられる協調型のリーダーシップが必要となのです。

 

 以上、3つの型の他には、ダニエル・ゴールマンが唱えた6つのリーダーシップスタイルがあります。

 その6つとは「ビジョン型」「コーチ型」「仲良し型」「調整型」「率先垂範型」「命令型」です。

(各型の詳細は是非本書をご覧ください。)

 

 この6つの類型は、

  • リーダーの能力が高い・低い
  • チームメンバーの能力が高い・低い
  • チームメンバーのモチベーションが高い・低い
  • チーム内の人間関係が良い・悪い
  • 対処すべき課題が長期的・短期的

 といった様々な条件の組み合わせに対して、どの型が有効かを示しています。

 

 この6つの型を最後に取り上げたのは、最初に述べた「最善のリーダーシップは状況によって変わる」ということを改めて強調したかったため取り上げました。

 

(ここからは自分の意見です。)

 

3.気づき

 「最善のリーダーシップは状況によって変わる」ということを何度も述べましたが、そうはいっても自分自身は独りであり、そんなにたくさんの型を持てませんよね。

 

 そこで、まずは自分が得意な型を見つけるのが良いかと思います。

 管理職経験のある方は、自分の経験を振り返り、どの型に自分が近いかを考えます。

 管理職経験のない方は、今までの上司(管理職)を振り返って、素晴らしいと感じた上司を思い出し、さらにその中から、自分がまねできそうな上司がどの型に近いかを考えます。

 ここで、「自分がまねできそう」と書いたのは、どんなに素晴らしい上司であっても、まねできないスタイルの方もいるからです。特に「カリスマ型」の上司のまねは不可能でしょう。

 

 自分の得意な型を見つけるもう一つの方法は、私が大学院でリーダーシップの授業を取った際の宿題を参考にできます。

 どういう宿題だったかと言うと、自分が持っているリーダーシップに関係する各種特性を評価するというものです。

 詳細も日本語訳も省きますが、以下の各特性について、過去の研究者が作成したアンケートに答え、点数化し、それらの特性から自分がどのリーダーシップの型に合っているかを考えるものでした。

 (EI[感情知能]やX理論・Y理論、性格診断テストのマイヤーズブリックスなどはご存じの方もいらっしゃるかと思います。)

 

  • Leadership Style Survey
  • Leadership-Member Relations Scale
  • Emotional Intelligence Scale
  • Task Structure Scale
  • Position Power Rating Scale
  • Situational Control Scale
  • Tolerance for Ambiguity
  • Motivation Score
  • Goal Orientation
  • Theory X & Theory Y
  • Myers-Briggs

 

 これは宿題として取り組みレポートとして提出しましたが、自分のリーダーシップを考えさせるという、まさに経営学を学んでいる学生思いの宿題であったと思います。

 

 ちなみに、私のリーダーシップの型は、最初の3つの類型で言うと、「やや支配型寄りのサーバント型」です。

 基本は部下が存分に働ける環境を作ろうと心がけている「サーバント型」です。

 ただ、「やや支配型寄り」と書いたのは、別にカリスマがあるというわけではなく、計画を立てたり、分析したり、全体像を把握したりするのが好きな質(たち)だからです。

 

 自分の得意なリーダーシップのスタイルを理解したら、先述したリーダーシップの型の解説を学んだり、自分の経験を振り返って、それがうまく機能する場合と機能しない場合を知っておく必要があります。

 そして、状況に応じて、自分のリーダーシップの型を多少はシフトできるようにしておくと良いかと思います。

 例えば、私はやや支配型寄りなことが分かっているので、例えば、課題への対応が時間的に迫っている時や、自分が得意な案件でかつ部下がやや未熟な場合は、支配型の度合いを少し強めて、チームを引っ張っていくというスタイルをとることができるかもしれない、と考えておくということです。

 

 自分に合ったリーダーシップのスタイルを知り、そして状況に応じて少し違ったスタイルもできるようにしていきたいです。

  

参考:

2019.9., 三谷宏治, 新しい経営学, 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン

 

部下の方々に教えてもらったこと

 今回は、部下の方々に教えてもらったことを振り返ってみました。

 自分が、マネジメント、そして人や組織に興味を持ったきっかけは、自分より知識も経験も豊富な部下を持ったことから始まりました。

 

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愛鷹山麓から富士山を望む Mar. 2017

 

 

1.管理職(マネージャー)経験

 私の会社では、人事異動により、支店-支社-本社を平均2年経たずに異動しつつ、色々なポストを経験していきます。

 この異動サイクルの中で、私は、入社7年目に支店の中間管理職を、9年目に支社の中間管理職を、そして15年目には支店の上級管理職を経験させてもらいました。

 

2.優秀な部下

 約2年ごとに異動し、しかも違う分野を担当することが多かった私は、なかなか一つの専門に詳しくなることができず、自分が管理職となる時は、いつも部下の方々の方が、自分よりも知識も経験も上、ということばかりでした。(そして、年齢が上のことも多かったです。)

 

初めて管理職になったときのことは今でもよく覚えていて、

 知識がなくて、打ち合わせの内容がよく分からない、、、

 相談を受けても、判断できない、、、

という状況でした。

 

もちろん勉強はしますし、遅くまで働きました。

それでも部下の方々は10年以上その道でやってきた方々。追いつけません。

 

そして、

 自分がボトルネックになっている実感が湧く、、、

 自分がいない方が仕事が回るのでは、、、

と思うようになりました。

 

3-1.まずは話を聴くこと、教えてもらうこと

 といっても、チームには貢献しなくてはなりません。

 

 幸いにも、よく分かっていない管理職であったのに、辛抱強く見守ってくれる部下の方々ばかりでしたので、まずは部下の方々の話をよく聴くことから始めました。そして、教えて頂きました。

 

 教えて頂く中では、たくさんの質問をしました。

 その際、基本的な単語が分からないといった知識不足を背景とした質問もたくさんしましたが、それ以上に判断に必要な材料を集めるための質問をしました。

 

 基本の質問はこの2つです。

なぜそうなるのか、教えてくれますか?(why?)

そうすると、次はどうなりそうですか?(so what?)

 

 この2つの質問は、いわゆる論理思考やロジカルシンキングと言われる手法における基本の問いです。

 

 これらの質問を部下の方々に投げかけ、答えて頂くことで、自分の頭の中で論理展開をチェックしていきます。

 すると、根拠が不足している点や抜けおちていた論点、新しいアイディアに、私自身だけでなく、部下自身が気づく場合もあります。

 

 例えば、ベテランの方ほど「(自分の経験から)こうなるだろう」という思い込みがあり、多くの場合それが当たっているのですが、今までとは前提や状況が違っていたりすると、そうはならない場合があります。

 

 また、改めて「なぜ?」と聞かれると、「あれっ、何でだっけ?」となり、それを調べることで、その業務をやることのそもそもの意義といった本質的なことに触れるきっかけとなったり、別の事例にも応用が利くような背景知識や共通点を発見するきっかけとなったりします。

 

 さらに、「次はどうなりそう?」という質問から、今やっている仕事の先にある目的や、他の部署との繋がり、または新しい別のやり方が見つかったりします。

 

 知見がないからこそ新しい視点で論理展開を眺めることができ、それが私のような管理職の一つの役割ではないかと思えました。

 

 もちろんたいていの場合は部下の提案で問題ありませんでした。

 それでも、根拠やその後の展開を改めて明らかにして共有することで、上司である私も部下も、自信と安心感をもって業務を進めていくことができます。

 

 ちなみに、これらの問いは、「なぜだ!」「で、どうするんだ!」というように、詰問するようにも使えます。

 しかし、そんなことをしたら部下から報告や相談をしてもらえなくなりますし、自分の方が知見が足りない場合は結局自分が発した問いに対する回答も出せず、部下は「じゃぁ、上司にあげなくていいや。」となってしまい、管理職としての務めが果たせなくなってしまいますので、注意が必要です。

  

3-2.自分しかできないこと(中間管理職として)

  論理展開を明らかにする会話を積み重ねることで、だんだんと、仕事の肝が見えてくるようになります。

 仕事の肝とは、何のための業務か?論点は何か?どういう判断基準で動くべきか?リスクは何か?といったことです。

 

 そうすると、ようやく本来の管理職としてやるべきことができるようになります。

 

 やるべきこととは、プロジェクトマネジメントの考えに沿って述べると、主に以下の項目を管理することです。

※プロジェクトマネジメント、ガイドライン(PMBOK)によると、10項目(分野)ありますが、その中から重要だと思われるもののみ選んでいます。

↓関連する過去のブログ

『プロジェクトマネージャーとしての知識』 - うめさんブログ

 

  • スコープ(目標・成果物)の設定
  • コスト管理
  • スケジュール管理

 

 つまり、目標を定め、決められたコストの中で、期日までに、求められた成果をあげるということです。

 

 中間管理職の役目としては、自分よりもさらに上の幹部や機関が定めた成果を達成しなければなりません。

 

 ところが、ここでまた問題が生じます。それは、成果達成のために、時に無理をしなければならない場合があると言うことです。

 

 そんなとき、部下よりも知見が豊富な上司であれば、「よし、若い時自分もさんざんやったから、俺も手伝うよ」と言えるのですが、自分の場合、経験がなく手が動かせませんでした。

 

 そのため、事前にやれることとして、前述の「スコープ(目標・成果物)」「コスト」「スケジュール」の管理をしっかり行い、なるべく手戻りなく、最小労力で成果が挙げられるよう努めますが、それにも限界があります。

 

 そこでもう一つやれることが、チームの雰囲気を良くすることでした。

 

 怒鳴らない、理不尽なことを言わない、といったことは当たり前ですが、朝の挨拶や、部下への声がけやお礼、上司の側からの情報共有、「なんのためにその仕事をやっているのか」という仕事の意義づけや、気分をほぐすための打ち合わせの前の簡単な雑談など、を心がけるようにしました。

 

 同じ業務量でも、心理的に頑張れる職場と頑張れない職場があります。心理的に安心して頑張れる職場を作りたいと思っていました。

 

3-3.本当に自分しかできないこと(上級管理職として)

  中間管理職を3ポスト経験させてもらい、またしばらくして、今度は上級管理職、つまりトップである支店長として組織を率いる機会を頂きました。

 

 すると、また違った景色が見えてきました。

 中間管理職の時とは、やるべきこと、自分しかできないことが変わったのです。

 

 もちろん中間管理職の時のように「スコープ(目標)」「コスト」「スケジュール」を管理することは必要です。

 ただ、これらは、私だけが管理しているのではなく、自分の部下である副支店長や中間管理職である各課長もそれぞれの立場で管理してくれています。特に、数字で目に見えるものは、日々の変化も追えるので、そうそう見落とすと言うことはありません。

 

 となると、上級管理職は目で見えないものを管理する必要があります。

 同じくプロジェクトマネジメントの考えに沿って述べると、私が考える上級管理職がやるべき、上級管理職しかできない項目は以下の通りです。

 

  • ステークホルダー(関係者)の調整
  • 人的資源管理

 

 そして、プロジェクトマネジメントにはないですが、以下も必須です。

  • ビジョンとミッション(※あえて言うなら、スコープの先でしょうか。)
  • 組織文化(バリュー)(※あえて言うなら、人的資源管理の土台でしょうか。)

 

 まず、ステークホルダー(関係者)との調整

 

 関係者とは、定義としてはプロジェクトに関わる全ての方を指しますが、なんと言っても外部の重要な関係者との調整が大切です。

 そして、それらの方々は、自分が優秀だからというわけではなく、組織のトップであるという肩書きと権限をもっているから、会って頂けるわけです。

 もちろん調整のための資料作りなどは部下に手伝ってもらいますが、関係者に直接会い、報告したり、交渉したり、説得したりは、自分が責任を持って成果を出さなくてはなりません。

 

 次に人的資源管理です。

 人的資源管理には採用や異動、人事制度設計など多々ありますが、支店として取り組むべきは「人材育成」でした。

  なぜなら、支店は最もお客様に近い現場だからです。

 

 この人材育成、実は中間管理職の時は、自分のことで手一杯でなかなか手が回りませんでした。

 そのため、「優秀な部下は、自分が手をかけなくても、勝手に伸びていく」。その一方で「伸び悩んでいた部下は、少ししか伸ばせてやれなかった」という結果でした。

 

 そこで改めて、若手、若手の育成担当者、そして初めて管理職になった方々を対象に、色々な図書を参考にしつつ、人材育成に取り組んでみました。

 

 大学院で組織論や研修理論を学んだ今から振り返れば、改善の余地は色々とありますが、多くの方に協力して頂き、「若手を育てよう」「仕事を通じて学ぼう」という雰囲気を作ることができたのは良かったと思います。

 

 次に、「ビジョンとミッション」です。

 上級管理職になると、複数のプロジェクトをみることとなります。プロジェクトはそれぞれ目的が異なりますし、進捗状況も異なりますし、日々様々な問題が起きます。

そのため、全てを隅々まで管理することは不可能です。

 

 そんなときには、チーム全体が向かっていくビジョンやミッションが必要です。自分の場合は「自分たちの子どもが住みやすい地域にしよう、自分たちが年老いたときに住みたい地域をつくろう」というものでした。

 このビジョンが良いかどうかは別にして、自分の言葉でチームに示す必要があります。

 

 次に「組織文化」です。

 中間管理職としてチームの雰囲気を良くすることが必要と書きましたが、チームの雰囲気は、組織全体の価値観、つまり組織文化の影響を受けます。

 組織文化とは、組織の中で共有されている価値観ですが、良くも悪くもその価値観に最も強い影響を与えるのが組織のトップです。

 

 どういう価値観の組織を作っていきたいのかを示す必要があります。

 

 私の場合は「楽しく働く」ために、批判ではなく対案、何のためにその仕事をしているのか考える、仕事はみんなで、下手なイノベーションより上手なイミテーション(出典:佐々木常夫氏の言葉)、ちょっと試してみよう、強みを伸ばそう、と言うようなことを着任時に挨拶し、文書にもして配布しました。

 

 もちろん言葉で示したら、すぐにその組織文化が形成されるわけではなく、繰り返し伝え、日々の業務の中で実践することで培われていくものですし、また部下の方々からいろいろなフィードバックをもらって変化させていく必要もあります。

 

 自分の経験では、定着するのに1年ぐらいはかかりますし、1年も経つとまた人が入れ替わるので、再度定着を図る必要がありました。

 

 ビジョンやミッションが達成できるよう、チームのメンバー一人一人の日々の行動のよりどころとなるような組織文化が形成できるのが理想です。

 

↓関連する過去のブログ

 組織行動論 メモ9 『組織文化』 - うめさんブログ 

読書メモ 「会社は何のために存在するのか あなたはなぜそこで働くのか」Harvard Business Review - うめさんブログ

 

 

 以上の中の「関係者調整」を除く、「人材育成」「ビジョンとミッション」「組織文化」は、部下とのコミュニケーションを通じて作り上げていくものです。

 結局、最初の部下の話を聴くことに戻るわけです。

 

 自分の思いを言葉や態度で示し部下に伝え、またそれ以上に、部下の思いを言葉や態度から読み取ったりしていかなければなりません。部下からのフィードバックこそが、自分にとっての気づきの源泉となります。

 プロジェクトマネジメントのガイドライン(PMBOK)にも、「マネージャーの仕事の9割はコミュニケーションである」と書かれています。

 部下との対話に一定時間以上をかけることが必要です。

 

4.最後に

 偉そうに色々と書きましたが、管理職(マネージャー/リーダー)としてこれらのことを私がちゃんとできていたとは言えません。

 失敗したと思うこともありますし、今ならもっと上手にやれたのにと思うこともあります。部下の方の中には、私のやり方に不満があった方もいらっしゃるでしょうし、私が気づかなかったこともたくさんあるでしょう。

 

 ただ、私の方には、部下の方々に恵まれ、色々と教えて頂いたという思いがしっかりと残っています。

 また、比較的早い段階で管理職を経験させてもらったこと、さらに(支店や支社での)管理職の立場と(本社での)部下の立場を交互に経験できたことは、マネジメントを考える上で非常に貴重な経験でした。

 この思いと経験は、今後も仕事をする中で、大切にしていきたいと思います。

 

人を支援する3つの型

 ダイエットをしようとするとき、ジムのトレーナーの指導を受けますか、医者に相談しますか、それとも自分で頑張りますか?

 

 今回は、エドガー・シャインが提唱した、人を支援する3つの型について紹介します。(出典は、中村和彦先生の「マンガでやさしくわかる組織開発」です。)

 

 ちなみに、このエドガー・シャインは、キャリア開発や組織文化、そして組織開発の研究で有名なマサチューセッツ工科大学のスローン経営大学院の教授です。

 

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Iceland, Feb. 2019

 

 

1.支援の3つの型(かた)

 シャインは、人を支援したり、組織の変革を支援したりする場合には、次の3つの型があるとしました。

 ①専門家型:専門家から解決策を教えてもらう。

 ②医師-患者型:診断を受けて処方箋をもらう。

 ③プロセス・コンサルテーション型:伴走者として支援してもらう。

※③は名称も説明も分かりづらいですが、今回のブログはこの型の解説がメインです。

 

 それぞれの支援の型について、支援が効果的に行われる場面がある一方で、上手く機能しない可能性があります。

 

 ①専門家型は、支援を受ける人や組織が、自分たちの問題点を理解しており、コンサルタントや支援者が提供する解決策がその問題の解決に役立つことを理解している場合に有効です。

 

 例えば、ある人が、自分が肥満体型であることを認識し、痩せるためには運動が必要であることを知っており、スポーツジムでトレーナーの指導を受ければ効果的に痩せられるだろうと考えている場合です。この場合のトレーナーが専門家ということになります。

 この支援型の欠点は、専門家の指導が終わってしまうと、元に戻ってしまう可能性があることです。ダイエットの例で言えば、スポーツジム通いをやめたら、リバウンドしてしまったといったところでしょうか。

 

 ②医師-患者型は、医師の診断を受ける患者のように、支援を受ける人や組織が、現状において何が問題かが分からず、さらに、診断によって見定められた解決策を自分たちで持続的に実行できる場合に有効です。

 

 例えば、ある人が、自分の健康状態を把握したくて健康診断を受けたらメタボだと判定され、医師から食事の質やお酒の量について指導を受け、その指導にそって日々の食生活を改善することで、肥満を解消していくというものです。

 欠点は、私自身も思い当たることがありますが、医師(専門家)の前では「分かりました、気をつけます」と言ったのに、それが実行できない、継続できないということが起きることです。

 

2.プロセス・コンサルテーションとは

 さて、いよいよ③プロセス・コンサルテーションです。

 

 ③プロセス・コンサルテーションとは、支援を受ける人や組織が、自分で現状に気づき、自分で改善策を計画し実行していけるように、そばに寄り添って支援するというもので、支援を受ける人自らが気づき実行する気にならなければ(=自らやる気にならなければ)解決の難しい問題に直面している場合に有効です。

 

 この自ら気づき実行する気にならなければ解決の難しい課題とは「適応を要する課題」(以下、「適応課題」と呼びます。)と言われているもので、当事者にとってその状況に適応することが必要な問題で、自分の思考様式や行動を変えていく必要があるものです。

 この「適応課題」という言葉を主張したのは、リーダーシップの研究者ロナルド・ハイフェッツですが、「適応課題」に対して、もう一つの課題は「技術的課題」です。

 

 例えば、私の経験で言えば、アメリカで生活するためには、コミュニケーションをとれるようになることが必要でしたが、これは英語というスキルを持っていないという「技術的課題」を解決するだけでは不十分で、アメリカと日本の文化の違いを理解して、強く主張したり、自己責任の元、自由に選択したりというように行動できるようにならなければならないという「適応課題」もクリアする必要がありました。

 

 そして、こういった「適応課題」については、カウンセリングやコーチングが有効です。

 具体的には、支援者が、支援を受ける人(当事者)に寄り添い、当事者個人との対話や、当事者が組織であれば組織内の当事者同士での対話を促し、自らの状態を認識できるようにし(見える化し)、次に、それに対してどう対応するかを自らが決められるよう議論をサポートし、さらに対応したことを振り返られるような機会を作ってあげるというように、プロセス全体を通じて当事者を支援します。

 

 これがプロセス・コンサルテーションですが、「支援をする側は適切な距離感を持って、あくまで伴走者として関わっていく関係である」ことを、支援を受ける側に認識してもらう必要があります。

 と、同時に、支援者は、当事者の可能性を信じ、当事者自身が気づき実行できるように全力でサポートしていくことも必要です。

 一方的に頼るのではなく、相互に信頼しあうという信頼関係が基本となりますが、信頼関係の構築には時間がかかり、またプロセス全体をサポートするため、効果が表れるまで時間がかかります

 一方で、当事者自身が納得しつつ進んでいくため、支援者がいなくなっても継続されたり、自発的にさらなる改善が推進されたりといったことが期待できます。

 

 

(ここからは自分の考えです。)

 

3.気づき

 さて、このプロセス・コンサルテーションという手法ですが、自分自身はまだこの言葉も概念も知らなかった頃、一度経験したことがあります。

 

 支店長時代に、業務改善を行うためにコンサルタントの力をお借りしましたときのことです。

 

 コンサルタントから提示されたやり方は、業務改善を行う先行モデルとして、支店の中のいくつかの課を選び、各課にコンサルタントがアドバイザーとして立ち会い、その課のメンバー自身が議論をして、自らの業務の状態を振り返り、業務改善策を提案・実行し、その効果を検証するというもので、まさにプロセス・コンサルテーション型でした。

 

 自分は支店長という立場からこの取り組みに関与していましたが、いくつか気づいたことがあります。

 

①支援者(コンサルタント)の務め

 『様々な会社の改善策を知っているコンサルタントから、一番良い方法を教えてもらえば、それをするのに。』

 『忙しいのに、自分たちで一から議論するなんて思っていなかった。』

 

 取り組みを進めている中、モデルとして選ばれた課のメンバーからこんな声が聞こえてきました。

 

 これは、支援を受ける側が、コンサルタントが来ると聞いて①専門家型の支援や②医師-患者型の支援を受けられると思い込んでいたからです。

 

 このことから分かるように、支援者は、プロセス・コンサルテーションという支援の方法をとる理由を十分に説明する必要があります。

  

 もちろんコンサルタントの方々には、業務改善の趣旨や議論のプロセス(やり方)などは説明して頂きましたし、各課のメンバーが自分の業務状況を振り返るための手法のアドバイスや、議論におけるファシリテーターをして頂きましたが、なぜプロセス・コンサルテーションという手法をとるのかの十分な説明はなかったように思います。

 

 業務改善は、先述の「技術的課題」と「適応課題」が折り混ざった問題です。

 

 例えば、経理処理を速くするためにExcelの使い方を改善するというのは「技術的課題」です。しかし、どういう姿勢で仕事に臨むべきなのかといったことや、職場の雰囲気をどう改善するかと言ったことは「適応課題」です。

 

 支援者は、今当事者である人や組織が解決しようとしている業務改善というものが、この「適応課題」であること、そして「適応課題」に対しては回りくどいように感じるかもしれないがプロセス・コンサルテーションが有効であることを、支援を受ける当事者側に理解して頂く必要があります。

 

②組織のトップの務め

 私 『それで、私は何をしたら良いでしょうか?』

 コンサルタント 『何もしなくて良いです。』

 

 これは、この取り組みが始まる直前に、コンサルタントの方と打ち合わせをした際の私とコンサルタントの会話です。

 

 つまり、組織のトップは辛抱強く見守る必要があると言うことです。

 

 もちろん、業務改善を行う必要性やコンサルタントの力を借りる意義を繰り返し支店内に周知することはトップの役割ですが、あとはぐっと黙っている必要があります。

 なぜなら、プロセス・コンサルテーションでは、自分たち自身で取り組んでいくことが重要だからです。それを組織のトップが「こうやるべきだ」と提案してしまうと、当事者達の考えを縛ってしまうことになるからです。(また、業務改善は、最前線の現場にいる人の意見を聴かなければならないので、その意味でも、トップダウンはいけません。)

 

 さらに、各課において議論が活発になってくると、「いろいろとやってみよう」というアイディアが出てきます。

 それに対して「もっとこうした方がよいのでは?」という助言とか、あまつさえ「それは余り意味がないんじゃないか」などという批判をすることも控えなければなりません。

 まずは自分たちで考えることができたと言うことを認めてあげ、自分たちが考えたことが実行されたという実績を作るのに協力し、実行した結果を振り返ることができるよう「やってみてどうだった?」という程度のやさしいフィードバックをしてあげるべきです。

 

 そういう意味で、コンサルタントは「何もしなくて良いです。」と言ったのだと思っています。

  

最後に。

 この業務改善ですが、実際には、上手くいった課と余り上手くいかなかった課がありました。そして、それはどれだけ役職間の垣根を超えてフラットに、そして本音で、かつ前向きに議論ができたかによるように思いました。

 今振り返ると、そのカギを握っていたのは、中間管理職である各課の課長であり、上級管理職であった自分はその課長さんたちともっと対話すべきであったように思います。仕事もでき、部下からも信頼されており、また組織への忠誠も高かった課長さんたちだっただけに、仕事のやり方やあり方に対して一家言お持ちで、多くの「適応課題」を抱えていたのでしょう。

 

 組織開発では、まずキーマンを押さえるべきと言われています。自分の事例では、キーマンは組織のトップであった私だったわけですが、組織を分解していけば、それぞれの部署にもキーマンがいるわけです。

 最も重要なキーマンを押さえたら、その力を借りて(今回の場合は自分の力で)、次々とキーマンを味方につけていく必要があります。

 

 このようにプロセス・コンサルテーション型の支援は大変です。一筋縄ではいかないこともあるでしょう。

 しかし、うまくいきはじめると、メンバーの顔が生き生きとしてきます。また、アイディアがどんどん出てきます。そして、組織全体の雰囲気が良くなります。

 

 プロセス・コンサルテーションという手法をしっかり理解し、有効に使っていきたいです。

 

参考)

2019.10, 中村和彦, マンガでやさしくわかる組織開発, 日本能率協会マネジメントセンター